熱中症と講演会

 熱中症の講演会ではありません。
 熱中症を紹介しますが、最後の8月5日に開く講演会のお知らせがあります。8月5日、今日なんですが、もしお時間のある方は大泉のいずみ活性化施設にお越しください。18時半スタートです。

 それでは。

熱中症について
1涼しいところでも起こる熱中症
 最近暑い日が続きますが、テレビでも熱中症という言葉をよく聞きます。都会にくらべれば、わたしたちが住んでいるところは、八ヶ岳南アルプス山麓ですので、そんなに暑くはなりません。
 高原に住んでいてよかったなとつくづく思います。
 涼しいところに住んでいるから、熱中症の心配はないと思いがちですが、これが誤解なのです。
 熱中症になる気温は35度以上といわれています。確かに、病院に熱中症になって運ばれるときは35度以上のときが多いのですが、これは日ごろから気温が高い地域です。たとえば、京都などではそうです。
 ところが、東北地方の仙台では、気温が32度を超えると熱中症になって病院に運ばれる人がふえます。日ごろの気温がそれほど高くない地域では、少し温度が上がっただけで熱中症にかかる人がふえるのです。
 以前、汗の研究をしている高木健太郎先生に聞いたことがあります。高木先生は、名古屋市立大学の学長になり、それから衆議院議員になって臓器移植の問題に取り組んだ人です。
 高木先生の研究で有名なのは、体の片側を圧迫すると、圧迫された側の体から汗が出ないという研究です。たとえば、着物を着て、帯で体を締めつけると汗をあまりかかない。本来なら汗が出てくるのに、汗があまり出てこない。これは体が圧迫されているからだと聞きました。
 高木先生は、汗を出す汗腺の量が沖縄の人と北海道の人では違うといいます。北海道の人が、真夏の沖縄に行くと汗があまり出ないので、体の調子が悪くなるそうです。
 暖かいところに住んでいる人と、寒いところに住んでいる人では、汗腺の数を含めて体のバランスが少し違うようです。
 ですから、涼しいところに住んでいるわたしたちも熱中症が他人事ではありません。
 少し気温が上がったら、要注意ですね。涼しいところに住んでいるからといって安心していてはいけません。

2高齢者はとくに注意が必要
 高齢者は熱中症になりやすい。まず、汗をかいたりする、体温の調節機構の能力が低下しています。汗があまり出てこない。
 次に、暑さに対する感覚が鈍くなっています。お年寄りが炎天下に道端に座っているのを見かけますが、よくそんな暑いところに平気でいられるね、と感心していまいますが、暑さに対する感受性が鈍くなっているからです。そして、体の中の水分量が少ないので、体温もすぐに上昇しやすい。また、冷えすぎを嫌って、クーラーを使わない人が多いなどの問題点があります。
 のどが乾いたら水を飲むといいますが、のどの渇きを覚える前に水を飲みましょう。外で活動しているときは30分にコップ1杯、家の中でも1時間にコップ半分ぐらい、ひとくちは飲みたい。
 外出するときは、水を持ち歩くといいでしょう。インドネシアのバリ島に行ったとき、ホテルの部屋に毎日ペットボトルに入った水が届けられました。外出するときは、バッグの中に入れて持ち歩き、よく飲んでいました。日本のようにどこでも水が出されるわけではありません。水は自分で確保することを学びましたね。いまでも外出するときは、水筒を持っていきます。
 ここで、熱中症になったときの症状を紹介しておきます。3段階があるそうです。第1段階のときは、こむら返りを起こす、立ちくらみがする、ふいてもふいても汗が出る。こういうときは、すぐに涼しいところに移動します。そして、うちわなどで風を送ります。スポーツドリンクなどを飲みます。衣服をゆるめます。
 こむら返りは、体の中の塩分が不足するために起こります。立ちくらみは脳の血流が少なくなるから起こります。
 第2段階になると、頭痛やめまいがする、ぐったりしている、吐き気がする、実際に吐く、急に下痢をする。第1段階の手当てに加え、体に霧吹きや濡れタオルで水をかける、衣服を脱がせる。自力で水分がとれないようなら、救急車を。
 体温が上がると、皮膚や筋肉に血液が多く流れるようになり、内臓へ送られる血液が減ってしまいます。そのために、下痢をしたり、ぐったりしたりしてしまうわけです。意識があれば、スポーツドリンクなどを飲ませます。
 熱中症は、体温が上がっている状態です。体温を下げるには、首の両脇、脇の下、太ももの付け根にある太い血管を冷やすことです。氷を当ててもいいでしょう。寒いというまで当ててもいいようです。人の体は熱には弱いのですが、寒さには強いようです。
 第3段階になると、まっすぎ歩けない、呼びかけにも応答がない、けいれんを起こしている、体が熱い、意識がない、大声を上げる。こうなったら、すぐに救急車を呼ぶことです。手当は、体を冷やすことです。
 また、熱中症は、湿度が高くても起こります。湿度が高いと汗がなかなか蒸発しません。体温が下がらなくなります。湿度にも要注意。

3講演会のお知らせ
 8月5日ですが、大泉のいずみ活性化施設で講演会を開催します。わたしたちの求める地域医療と題して、講演会をします。
富士見高原病院の副院長の矢澤正信先生に基調講演として、地域で求められる医療という講演をしてもらいます。ご存じの方もいると思いますが、富士見高原病院は、長野県にあります。山梨県との県境にあって、患者さんの25%ぐらいは北杜市民。病院の規模としては甲陽病院と同じぐらいですが、常勤の医師が研修医を含めて、現在、診療科は19、常勤医は研修医を含み27名。3つの老人保健施設、2つの診療所、2つの訪問看護ステーション、1つのグループホーム、院内に保育所を持つ総合病院です。
 どのようにしてこのような陣容を持つに至ったか、市民との関係、また、北杜市への取り組みなどを通して、地域医療に関する考え方を述べていただきたいと思います。
 また、ほくと診療所の中嶋克仁先生に、北杜市内の医療状況についてお話しいただきます。
 北杜市にはふたつの市立病院がありますが、そのひとつ甲陽病院は常勤の内科医がやめてしまい、内科が中嶋先生をはじめ、北杜市内で開業している先生方が助っ人で入っています。常勤医は6名です。
 内科の常勤医がいない関係で、内科的な処置が必要と思われる救急患者は、塩川病院、韮崎市立病院、富士見高原病院などに依頼しています。
 この状況を何とかしようと頑張っています。地元出身のお医者さんが秋口から週に1度診察してくれるように依頼しているようです。まだ決定ではありませんが、状況は少しずつよくなってきています。
 がんばっている医師や看護師さんたちを何とか支えていきたい。市民としては何ができるかを考えようという趣旨です。
 まず、状況を知ることですね。