「はじめに」を紹介します

ようやく書き直しを終わり、本を出します。
まだ最終的な検討が終わったわけではないのですから、決定ではありませんが。
そんななかで、その本の「はじめに」を書いてみました。
それを紹介します。



はじめに
わたしは健康雑誌の編集長でした。
健康雑誌というと、どんなイメージを持たれますか。
どんどん治る、みるみるよくなるといった、体験談ばかり集めた雑誌で、なんだか当てにならない。
からだを守ってくれる大切な情報を扱っている割には、何かあまり信用されていない感じがするのは、わたしだけではないでしょう。
なぜでしょう。
その理由は体験談で取り上げている「民間療法」を流行らせよう、流行らせようとしているからです。
かつてわたしもそうした健康雑誌の編集者でした。紅茶キノコという民間療法を雑誌で取り上げました。ずいぶん昔の話です。でも、これが健康雑誌を大きく変えていくきっかけになりました。
その後、別の版元から健康雑誌を創刊するので編集長をしてくれないかという声がかかりました。わたしは新しい健康雑誌をつくろうと思いました。西洋医学だけでなく、栄養学など健康の維持・増進に役立つ情報ともう少し進んで予防医学の情報の紹介を柱にしたものです。民間療法や健康食品を利用してブームをつくり、売り上げを伸ばすことはやめよう。しかし、思い半ばで編集長を下りました。
それにしても民間療法はどれほどの効果があるのでしょうか。
どのくらいの人が利用しているのでしょうか。
そもそも民間療法とはなんでしょうか。
健康雑誌をはなれても気になっていました。
また、ライターとして健康関係の単行本の制作にかかわってきましたが、健康を維持し、予防医学に役立つものはないか、民間療法の中にもいいものはないかと探してきました。
そして最近はがんに関係してよく聞かれるようになりました。友人でがんといわれる人がふえてきたからです。ごく初期の人いれば、末期でもう治療法がないといわれた人もいます。
こんな健康食品を勧められたけど、どうだろうと相談されることもあります。
わたしもまわりには、雑誌やテレビの情報を含め、民間療法が常にあり、それをウォッチしてきました。
民間療法を検討するにあたり、その科学的な根拠が求められます。体験談だけで民間療法を評価することはできません。体験はあくまでもその人の体験であり、それが同じようにほかの人にも当てはまるとは限りません。体験者の7割が効果があると感じたとしても、3割の人には効果がありません。その個人差はどこからくるのか。どのような人には効果がないのか。明らかになったものを紹介したい。
民間療法といわれているもので、検証されているものはないか、論文を調べてみたいと思っていました。
そこに、この本を書かないかといわれました。
民間療法をすべて知っているわけではありません。現在、わたしが興味を持っているものを中心に検討してみました。
疑問や不安が少しでも解消されることを願っています。



こんな本を出そうとしています。
いずれくわしく。