あと何年生きられるか

先日、学生時代の友人から電話があった。
もう10年以上も会っていないし、電話も突然だった。
まだ子どもが小さいころ、当時彼が住んでいた北海道をそれぞれの家族でいっしょに旅行したことがある。
奥さんががんと聞いていたので、不吉な感じがしたが、それは杞憂だった。抗がん剤が功を奏し、再発していないという。
かれが60歳を機に小学校、高校の同窓会が開かれ、出席してみると親しい友人が亡くなっていたことがわかった。
それもあり、会いたいと思ったら、すぐに連絡をとって会うことにしているだという。
一晩わが家に泊っていろいろなことを話したが、話しているとつい昨日別れたばかりのようで、一気に昔にかえっていく。
もっとも学生時代の話ばかりしたのではない。
あと何年ぐらい生きられるだろうということも話題になった。
わたしたち団塊の世代は長生きできないのではないかという。
生活そのものが大きく変わり、体を動かす必要がなくなり、食事も急激に変化していった。肉もずいぶん食べるようになった。同じ年代で病気になり、亡くなる人もふえてきている。
わたしも同じ意見である。
生活習慣の変化に加え、わたしたちの年代は「数」というストレスに囲まれてきた。競争は常に当たり前だった。これが、寿命に大いに影響を与えている。
長生きはできないな、とお互いにうなずく。
70歳ぐらいまでだろうと彼はいう。わたしもそう思う。
すると、残りの人生はそれほど長くはない。
会いたいときに、会いたい人に会いに行く、これは大切だなと思った。
元気なうちに会っておく。
病気になって、見舞いにこられても、気まずいだけ。
もちろん楽しくもない。
やはり元気に、酒でも酌み交わしながら、ちょっと人生についても語っておこう。
そんなわけで、会いたい人に会いに行くという彼のあり方に賛同した。
といって、わたしがすぐに実行するわけではないが。