あなたは何にときめきますか

1. あなたは何にときめきますか
何にときめきますか?
こう訊かれてすぐに答えられる人は少ないだろう。
ときめくことなんか、ありませんよ、と答えてしまいそうです。
正面切って、ときめくものといわれると簡単には答えられません。
でもちょっと思い出してみてください。
初恋なんか、ときめきのかたまりのようなものでした。
わたしの初恋時代、いまから40年以上、もっと前ですから、携帯電話ももちろんメールもありません。
で、電話をかけるにもずいぶんと勇気がいりました。彼女が出なかったら、なんていおうかなんて思っているだけで、かけられませんでしたね。
ときめき脳といいますが、ときめいたときに脳にときめき回路ができます。初恋だけではないのですが、子どものころに感じた楽しい経験によって回路ができます。
たとえば、子どもは水たまりが大好きです。水たまりを見ると、親の手を振りほどいて、中に入ってバシャバシャとやります。
水に手でふれていたい、水の中にからだをつけたいという本能的な欲求があり、それは副腎を刺激してホルモンの分泌をさかんにさせます。
雪も同じようにときめき脳を刺激します。雪が降ってくると大人でも何かドキドキしてきます。雪国に育って雪が嫌いという人もいますが。
水や雪にふれるのは、本能でもあり、ときめき脳をつくることでもあります。
子どものころにできたときめき脳は一生脳の中にあるのだそうです。そして、子どものころのときめき脳を刺激した楽しい体験をすると、この回路が動き出すのです。
ときめき脳が刺激されるのです。
ご存じのように脳は適度な刺激を受けて、学習し、創造し、記憶し、そして休息することで成長します。
じつは、脳全体がアルツハイマー病になることは少なくて、記憶をつかさどっている海馬がダメになることが多いのですが、ダメになったところをカバーする働きがあります。
100歳を過ぎた人の脳を解剖したら、海馬はアルツハイマー病でダメになっていたし、脳の容量もずいぶん減っていました。
ところが、その人は亡くなるまで記憶力もよく、判断力も衰えていませんでした。
なぜなのかということが研究されているのですが、その人は亡くなるまで新聞を隅から隅まで読んで、いろいろなことに興味を持っていたこと。そして、ボランティアをしてさまざまな活動をしていたことがわかっています。
脳を使っていたのがよかったのではないということです。
脳がいきいきと動きだすのでは、とくにときめいたときです。
100歳を過ぎても、脳がしっかりしていた人は、じつはアメリカの修道院にいるシスターで、何ごとにも積極的で、人の面倒をよく見る人だったようです。

美味しいものを食べたときもときめきます。
美しい自然を見たときときめきます。
音楽でもときめきます。
日常の生活の中でもときめくことがないか、いつも探してみるのはどうでしょう。
なんといっても人との出会いがときめきますね。
さて、人に会いに行きましょうか。