アガリクス、サメの軟骨、プロポリスの効果は

がん患者さんの多くが補完代替医療を利用していることは一般にも知られていましたが、その実態が明らかになったのは、厚生労働省がん研究助成金による研究班「我が国におけるがんの代替療法に関する研究」が2001年に組織され、その研究結果が2005年に発表されてからです。
 それによれば、がん患者の44・6%が何らかの補完代替医療を1種類以上行っていました。
 とくに年齢の若い患者さん、高学歴の患者さん、進行がんの患者さんに補完代替医療を利用している人が多いということもわかりました。これは、欧米でも同じような傾向の報告があります(『がんの補完代替療法ガイドブック』第2版より)。
 日本の利用者の多い補完代替医療の種類を見てみると、いわゆる健康食品が圧倒的に多く、なかでもアガリクスやAHCCなどのキノコ類が70%近くを占めています。日本におけるがんの補完代替医療といえばキノコ類による健康食品を意味するといってもいいほどです。
次いで、プロポリス、漢方(保険治療として医師から処方されているものは除く)などが利用され、気功や鍼灸はごくわずかでした。
 欧米先進国においては、がんの補完代替医療の取り組みは日本と比較にならないほど進んでいます。その有効性と安全性についての科学的根拠を求める研究もさかんに行われています。
日本においては、補完代替医療の検証は欧米にくらべて非常に遅れていると述べました。
しかし、利用者の多さに、ようやく国でも何らかの対応が必要ということで、補完代替医療に対する考え方や利用法をまとめた『がんの補完代替医療ガイドブック』が厚生労働省研究班によって作成されました。
『がんの補完代替医療ガイドブック』第2版の「がんの補完代替医療の有効性」という項目には、米国において、がんの専門家が集まって組織された統合腫瘍学会が2007年に発表した「がんの統合医療ガイドライン」の一部が紹介されています。
それによれば、補完代替医療はがんの痛みや抗がん剤の副作用(悪心やおう吐など)に対する鍼灸治療や、不安や痛みに対するマッサージぐらいしか、いまのところ有効性が確認できていないことがわかります。
 健康食品については、いまのところ、がんが治るとか、がんの再発が防げるといった、治療や再発予防の目的で利用する価値があるとされたものは残念ながらありません。
しかし、「有効性が証明できていない」ということがすなわち、「効果がない」ということを意味しているわけではありません。「効果があるかわからない」という意味です。
わたしは、わずかな例でも治療や再発予防に効果があったとすれば、きちんと研究をすべきだと思っています。有効なものはないと一概に切り捨ててしまうのはどうかと思っています。
 ここでがんの患者さんによく使われているアガリクス、AHCC、サメの軟骨、プロポリス、プロバイオティクス、漢方薬アロマセラピー鍼灸について、いまの時点で、どこまで検証されているかを紹介しておきましょう。
以上、『民間療法のウソとホント』から。
健康食品の効果を知りたいという人はぜひお読みください。
このほか、黒酢、ニンニク、卵黄油、クロレラ、ウコンなどについても調べてみました。