人と出会うこと

ちょっと、いままでのブログと違うご報告をします。
先日、大阪で文楽をみようと2泊3日の旅に出ました。仕事で大阪には何度も行ったことがありますが、ほとんど日帰りで泊ったという記憶があまりありません。
そもそも仕事でいっていますから、いわゆる観光もしていませんし、食いだおれの大阪という町で、食事をきちんとしたこともありません。
そんなわけで、ほとんど初めてといっていいと思います。
文楽を見ただけでなく、心斎橋、道頓堀、法善寺横丁、通天閣、とぶらぶらしてきました。
行った日がちょうど十日戎で、どうせだから今宮戎に詣でようといってきました。今宮戎通天閣も近くにあります。十日戎は、
ショウバイ ハンジョ デ ササ モッテコイ
というお囃子で有名です。みなさんも耳にしたことがあるでしょう。
境内に入ると、副娘といわれる巫女さんが青笹をくれ、そこに紙で出てきた俵や小判など、縁起のいいものをつけていきます。
副娘は毎年公募され、今年の副娘の中には金髪の外人さんもいました。みなさんきれいな副娘に笹をもらうとしていました。
十日戎はそれなりに面白かったのですが、じつはそのすぐに近くに澤野工房というジャズレーベルを出している会社があったのです。
ジャズレーベルの会社というと何かとてもおしゃれな感じですが、なんとそこは下駄屋さん。
店先には下駄がいちばん多いのですが、身近な履物が並んでいます。靴屋さんというより下駄屋さん、履物屋さんかな。
そんなお店の奥に、ジャズのCDがプラスチックの箱にきちんとおさまって売られています。
澤野工房は、紙のジャケットでヨーロッパのジャズを紹介していました。とうきょうのCDショップのジャズジャンルには、澤野工房のコーナーがあります。
わたしも何枚か澤野レーベルのジャズのCDを持っています。ちょっと独特のロゴマークをしっかり覚えていました。
それが、下駄屋さんに看板としてかかっていたのです。
えっ、こんなところに、あの澤野工房が、という感じでした。
店の中に入って、見たことのあるCDがあるではありませんか。まさにここが澤野工房だったのです。
店主の澤野さんがいらっしゃいました。穏やかな、優しそうな人です。あとで年齢をお聞きしましたが、わたしより1歳年下。
ジャズ好きが高じて、納得のいくレコードを出したいという強い欲求があって、自分のレーベルをつくったというより、こんなジャズもあるよ、とおずおずと紹介するという雰囲気でした。
澤野工房のジャズCDは、押しのけて流行をつくるというものではないと思います。何気なく、そばにあり、わたしたちのこころに寄り添ってくれるようなジャズです。
いま流行の癒しというのものではありません。
それぞれしっかりした主張があります。
しかし、それはおしつけがましくない。
わたしは、何枚か印象的なCDを持っています。
そんな澤野工房のジャズをつくりだしている澤野さんに、本当に偶然出会うことができました。


人と出会う。
澤野さんと出会ったのは偶然かもしれません。しかし、文楽の本場で文楽を見てみたい、大阪に行ってみよう、それが十日戎のときで、今宮戎に行こうと思わなかったら、澤野さんには出会えませんでした。
しかも、それは思いもかけないことでした。
脳への刺激という点では、本を読んだり、映像を見たり、絵を見たり、といろいろありますが、人と会うことがいちばん強いと思います。
澤野さんと出会い、そのことをつくづく感じました。

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