うれしいこと

昨年の9月に『民間療法のウソとホント』(文春新書)を上梓しました。健康雑誌の編集者として、またテレビで健康番組をつくり、コメンテーターとして出演していたこともあり、いまの健康食品のブームに対して、伝えたいことがあるのでは、といわれ、いままであまりふれてこなかったのですが、健康食品や民間療法について書きました。
健康食品や民間療法を一刀両断に切り捨ててしまうのではなく、何かいいものがあれば、紹介したいと思い、話題になっているものの論文を探し、検討してみました。
読んだ論文は、机に高くなりましたが、なかなかいいものはありませんでした。正式な論文となっていないものも多く、もちろんすべて検証したわけではありません。
しかし、テレビのコマーシャルを見ていると何万本、ものによって何百万本も売れているようです。その成分をきちんと検証し、論文にして学会に発表してほしい。とくに安全性については、「茶のしずく」のように問題になってからでは遅いのです。これはメーカーに強く望みたいと思います。これは食品、化粧品などのメーカーの務めではないでしょうか。
さて、『民間療法のウソとホント』が、日本経済新聞(4月22日付)の今どき健康学というコラムで取り上げられました。江戸川大学特任教授中村雅美氏の筆ですが、内容をきちんとご紹介いただき、たいへん感謝しています。一部を紹介させていただきます。
「いま健康食品のブームである。テレビのチャンネルを回せば、健康食品に関する番組があるし、新聞広告やチラシもこうした商品のオンパレードだ。今回はこの健康食品について考えてみよう」とはじまります。まさにおっしゃる通り、テレビもBSを見ているとほとんど健康食品や化粧品の広告ばかりです。この本を書いたきっかけです。
「『民間療法のウソとホント』(文春新書)という本を読んだ。著者の蒲谷茂さんは健康雑誌『壮快』の創刊にかかわり、その後独立した。民間療法などを少し批判的に見ている。健康雑誌や民間療法、健康食品の裏側も書いている」実際に制作する側にいましたから、その裏側も書きました。
 コラムをあまり紹介すると、著作権違反になりますので、これぐらいにしておきますが、本の内容にも踏み込んでいただき、たいへんうれしい。
 中村教授が、このコラムで、食品を扱うのは主婦などのアマチュアなのだから、リスクは限りなく小さくしなければならないと述べていますが、わたしもまったく同感です。
 とりすぎると害があることがわかっているなら、こうした制限をきちんと明示すべきです。
 いいといわれれば、誰もがとりたくなります。しかし、とってはいけない人、量などに制限がある場合にはそれを掲載してほしい。
 ブレーキのない車はありません。事故は必ず起こります。事故を防ぐためにブレーキをつけてほしいと願います。
 研究していれば、そのあたりはわかっているはずです。ぜひお願いしたい。