朝日を浴びましょう

朝真っ先にすることは、カーテンを開けることです。朝日を浴びると、からだのなかの時計がリセットされるからです。
人間も例外ではありませんが、ほとんどすべての生物が体内時計を持っているといわれています。体内時計によって、眠くなったり食事をしたり、という生物としての活動ができるようになっています。血圧、体温、ホルモン分泌なども体内時計によって左右されています。自分の意思でからだを動かしているように思っていますが、からだ自体が持っているシステムがからだを動かしているのです。
この体内時計ですが、25時間サイクルで、眠くなったり、起きたり、活動したりしています。この体内時計に朝だと知らせるのが朝日なのです。そして、朝だと知らせることがたいへん重要です。


ひとつは、体内時計に朝だと告げることです。寝ている時間は過ぎ、これからは活動する時間ですよ、と伝えるのです。
もうひとつ、わたしたちの生活は24時間単位で動いているために、体内時計も生活リズムに合わせる必要があります。そのためにも、リセットが必要です。
このふたつをしてくれるのが、朝日なのです。
もし、リセットができないと、からだが昼間の作業についていけません。仕事や家事でミスをしたり、事故を起こしたりする原因になるのです。
朝日を浴びるのは、1日のはじまりの合図なのです。


健康長寿という点からすると、リセットをしないと、夜の睡眠が阻害されることがわかっています。夜なかなか眠れなくなくなるのです。
じつは、寝る子は育つという格言通りに、寝ている間に成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは、文字通り体の成長に関係するホルモンですが、骨や筋肉の成長に関係するだけでなく、食べものの栄養成分をからだの組織に変える代謝を促進したり、血糖値をコントロールしたり、さらには脂肪をため込んだり、排出したり、さまざまな働きがしていることがわかりました。
成長ホルモンの若返り効果を、アメリカのバージニア大学が確認したところ、皮膚のたるみの解消には効果があることがわかりました。若々しい肌をつくることができたのです。反対に睡眠不足は肌の老化を進めるのです。
そして、成長ホルモンが、長寿にも関係していました。成長ホルモンは肝臓に働いて「IGF−1」という物質を分泌させます。この物質は、歳をとるともに分泌量が減っていくのです。いい方を変えれば、この物質が多ければ多いほど、若いといえます。
成長ホルモンによって、「IGF−1」の量を保持できるのです。寝る子ではなく、よく寝る人が若々しいといえるでしょう。
よく寝るためには、朝日を浴びることが重要なのです。


もうひとつ、日の光が不足するとうつ病の原因になるといわれています。うつ病になると、アルツハイマー病になりやすいというデータがあります。いうまでもありませんが、アルツハイマー病は健康長寿の大敵です。
うつ病の原因のひとつに脳内ホルモンセロトニンの減少があります。このセロトニンは脳幹の中央部にある縫線核というところから分泌されていますが、この縫線核は目の網膜とダイレクトにつながっていて、網膜から光の信号を受け取ると活動が活発になってセロトニンを分泌します。
ですから、日の当らない生活を送っていると縫線核が刺激されず、セロトニンの量が減っていき、うつ病になるというわけです。
そこで、まず朝日を浴びて1日のスタートをしましょう。
うっとうしい梅雨ですが、雨の日でもカーテンを起きたら、すぐに開けてください。

わたしが書いた『民間療法のウソとホント』にも健康法を少し紹介しています。