もうひとつ週刊文春で書かなかったこと

当たり前の話だが、歳をとれば誰もが全員が認知症になるわけではない。
認知症にならない人がいるが、それは一体どんな人たちなのだろうか。
日本人を対象に認知症になった人とならない人を調べようと、大掛かりな調査が行われている。
福岡市に隣接する福岡県糟屋郡久山町が舞台。人口は8288人(2012年6月1日現在)。
ここで、町民の中で1961年、1974年、1988年、2002年に健康診断を受けた人を、病歴、死因、食生活等の毎年追跡調査をしている。
調査している人が亡くなった場合には、解剖をし、死因を正確に調べ、分析している。解剖までして調べているものは、世界的にも少なく、非常に貴重なデータとして、医学的なたいへん評価も高く、大きな信頼を得ている。
久山町が選ばれたのは、日本人全体の男女別年齢別の人口比率の割合が近く、日本人全体の病気の実情を類推するうえで適しているからだ。また、人口移動が少なく、追跡調査がしやすいというところもある。
久山町の調査は、当初は、脳卒中と高血圧、食事など生活習慣の関連をテーマに調べていたが、現在は脳卒中に加え、心臓病、がん、認知症、糖尿病、高血圧を対象に調べている。
この調査から認知症と食事に関する最新のデータを紹介しよう。調査をしている九州大学が、2012年1月の日本疫学会で発表したものである。
認知症を発症していない人がよく食べていたのは、
●大豆製品と豆腐
●緑黄色野菜
●淡色野菜
●藻類(海藻)
●牛乳・乳製品
である。
これらの食品をよくとっている人では、認知症の発症が少なく、リスクが低いと報告している。
さらにお米の摂取量が少ない食事パターンがよいことがデータからわかる。このデータは、1988年の健診に参加した60歳以上の1006人の追跡調査の結果である。
病気との関連でいうと、糖尿病の人は認知症になりやすいことがわかった。このデータも、1017人を15年間にわたり追跡調査をしていた結果である。
この研究は、いまでも続けられ、これからもっといろいろなことが明らかになっていくだろう。


*あくまでもスペースの関係で削除したものです。
内容にはまったく問題はありません。念のため。