今年の夏の思い出&夏バテ解消法

8月も終わると、いよいよ夏も終盤ですね。
今年の夏はいかがでしたか。
わたしは、山行を再びはじめたことが今年の夏のいちばんの出来事です。
東京にいたときに山歩きをはじめて、近郊の奥多摩、丹沢などに月に一度登っていました。東京都でいちばん高い山雲取山(2017m)にも登りました。こちらに家を持ったときにも、八ヶ岳に登ろうと、編笠山には登りました。権現岳も登ろうとしたのですが、霧が深くなり、ほかの登山者にもまったく行き合わず、不安になり、三つ頭まで行って下りてしまいました。このころから下山するときに膝が痛くなり、もう歩けないという状態になり、これはもう山登りは無理だなと諦めていたのです。
せっかく八ヶ岳南アルプスの近くに住んでいるのに、と残念な気持ちでしたが、膝は本当につらくて、人に迷惑をかけるわけにはいきません。
そんなときカミさんの友だちで、わたしの本を読んでくれ、一度会いたいという人が現れ、お会いしたのですが、その人が山のベテランだったのです。
何度かお会いしているうちに、山に行きませんか、と誘われ、しかも、北アルプスの燕岳を目指そうといわれたのです。行けるかなという気持ちだったのですが、いろいろサポートしてもらい、燕岳に登ることができました。燕岳に行ったときの話をしましたが、ストックを使っただけでなく、ゆっくり休むことも教えてもらい、膝は痛まずに下山することができました。
これで少し山登りにも自信がついて、いまの家から見える範囲の山々を登ろうと思っています。


次は、松本市立美術館で草間彌生さんの個展を見ました。
草間さんは、松本のご出身で、この美術館の常設展でいくつかの作品を見たことがあります。それもすごくよかった。10歳ぐらいのときにお母さんを描いたデッサンがあるのですが、お母さんの顔にも点々が描かれています。このときにすでに、彼女の水玉の要素があります。作品の両側に鏡をつけ、合わせ鏡にして、作品が永遠に連なっていく。
今回のテーマは『永遠の永遠の永遠』。水玉、永遠ともに彼女が追い続けているテーマです。個展では、これは、130×162cm、162×162cm、194×194cmといった巨大なカンヴァスに、彼女に世界が広がっています。その数は112点、加えてオブジェなどもあり、制作年も2005年から2012年と、いまの草間彌生をわかります。
わたしは、横顔がいくつもいくつも連なり、ひとつの形をつくっているもの、眼が同じように連なっていく作品のほかに、細胞の中身を描いているような作品が気になった。細胞には、細胞核ミトコンドリア細胞核、さらに染色体などがあるが、それがさまざまな形で描かれているように思えました。
わたしたちのからだは60兆の細胞からなっている。それは刻々と死に、そして生まれている。その永遠の営みがわたしたちを支えているのです。
草間彌生さんには、わたしたちのからだを支えている、この細胞のうごめきが見えるのではないでしょうか。
圧倒されるが、包まれている心地よさも感じます。
この展覧会は、11月4日まで、松本市立美術館で開かれているので、お勧め。


今年の夏は観劇をよくしました。
チェーホフ桜の園』、文楽『其礼成心中』。ともに、三谷幸喜さんの翻案、作演出です。それぞれの公演のパンフレットを作製した人と知り合いで、プラチナチケットを入手できました。
桜の園』はチェーホフが喜劇と書いてあるところから、三谷さんが喜劇として翻案し、取り組んだもの。『其礼成心中』は、近松門左衛門の『曽根崎心中』のその後が舞台の文楽です。『桜の園』もよかったのですが、『其礼成心中』がとくに面白かった。文楽は、古典芸能にくわしい友人に誘われ、東京、大阪と2回見たのですが、三谷さんが文楽の持っている独特の雰囲気を壊さず、現代人でもスーっとわかるようにしたかったとありますが、見事に成功しています。
文楽には、人形と台詞などを語る大夫がいますが、三谷さんの作演出にこたえて楽しそうに演じていました。現代的な台詞や動きもありますが、違和感がないだけでなく、それが楽しい。近松もおそらく当時の流行りの言葉を台本に活かしたと思います。
文楽も歌舞伎と同じように床本といって、台詞や状況描写がわかるようになっています。芝居がはじまる前に読んでおくと、流れが理解できていいといわれています。床本を読まなくても、台詞は昔のものでしかも七五調ですが、聞いていると自然と頭に入ってきます。
人形遣いの動きもまったく気にならなくなり、芝居に没頭できるようになります。
まったくわからないといった人がいますが、わからないという人のほうがわかりません。日本文化が育んできた古典芸能には、ぜひともふれてもらいたい。
三谷さんがパンフレットの中で、「人形だからできる芝居は死ぬことだ」といっていますが、人の手、人形遣いの手をはなれれば、人形はただの人形になってしまいます。人が芝居で死んでも死を演じることはむずかしい。しかし、人形は人の手をはなれることで死にます。人形は死ぬことができるのです。
これは反対にいえば、人形に魂を入れることができるということです。
文楽の人形は、ただの人形ではないのです。それがよくわかります。じつによかった。


さて、いよいよ夏も終わりですが、夏バテしていませんか。
夏バテは、なんとなく疲れて、何もやる気が起こらない、食欲がないという状態をいいます。
イライラすることが多くなるというのも夏バテです。
原因はよく眠れない、たくさん汗をかいて疲れているためです。
まず、よく眠ることです。暑くてなかなかむずかしいという人は、涼しいところで昼寝を勧めます。15分から20分、椅子に座ったままでも結構ですので、少し寝るだけで効果があります。
食べものでいうと、ビタミンB1をとると、疲れが解消されます。豚肉に多いので、お肉を食べるなら豚肉。大豆、シイタケ、セロリ、にら、ピーナッツにも多いので、積極的にとりましょう。