人生は長さではない

前回のブログで、100歳まで生きられるかということで書きました。100歳までボケないというタイトルがついた本の制作に関係し、どうすれば元気に長生きできるかというテーマでさまざまな論文を読んだり、アンチエイジングの研究をしている医師に取材をしたりして書いてきました。
確かに、100歳を過ぎても元気に活躍されている方々がふえてきました。100歳までいかなくても90歳を超える人はもうまれではありません。
「100歳まで〜」というタイトルの本がたくさん売れ、みな100歳まで生きられると希望を持っているかのようです。
100歳までは無理としても80歳ぐらいはクリアできるに違いないと思っているでしょう。
日本人の平均寿命を見てみると、女性で85.9歳、男性で79.44歳。東日本大震災の影響もあって、平均寿命世界一の座から滑り落ちましたが、それでも80歳という年齢は、それほど遠い年齢ではなくなっています。
まあ、80歳ぐらいまでは生きられるよね、というのが実感でしょう。


寿命とは生まれてから死ぬまでの時間のことですが、この長さには個人差があります。長生きしている人がいるから、自分も長生きできるというものではありません。長生きするためには、それなりの努力が必要ですが、努力をしたからといって長生きできるとは限りません。誰も自分の寿命を決めることはできません。
明日のこと、いや1時間先のことすら、わたしたちはわかりません。
このことをまず認識することが必要ではないでしょうか。
だから、いまという瞬間をしっかり生きる、これが大切なのです。
そして、たまには自分が生きてこられたことに感謝しましょう。誕生日を迎えた娘に、1年に1度みな祝ってくれる日、誕生日があることに感謝しようとメッセージを送りました。自分の大切な人が、誕生日を祝ってくれることほどうれしいことはありません。生きてこられたことを知るきっかけのひとつが誕生日です。誕生日というのは大切だと思っています。
過ぎ去っていった過去ですが、そこに自分があり、いまの自分をつくっています。


改めて、人生は長さではないと思います。
聖路加国際病院小児科の細谷亮太医師は、幼くして亡くなったがん患者さんに、そのときは何もできなかったが、たくさんのことを教わったと書いています。子どもであっても自分の人生を見つめ、短い人生を生きぬくといいます。本人がいちばんつらいとは思いますが、家族はじめ、周囲の人にさまざまな思いを抱かせてくれます。
自分で人生の長さを決められないからこそ、人生の価値は長さではないのです。