救急車で運ばれてようやくがんが見つかる国

週刊文春の11月8日号(10月31日発売)で、『本当に信頼できる「人間ドック」厳選リスト』という記事を寄稿した。
その中で、掲載ページ数の関係で、省略せざるを得なかったエピソードがある。
わたし自身もその報道に驚いたのだが、9月21日付英紙タイムズの記事である。
英国では、がん患者の4人にひとりは救急車で運ばれてはじめてがんと診断されるというのだ。そのうち大半は数週間以内に亡くなっている。これはイギリスの研究機関が調査した結果である。
英国は、日本のような定期健康診断は普及しておらず、専門病院で診察を受けるには、かかりつけの家庭医の紹介が必要。
「患者が医者に行きたがらないのが一因とみられているが、家庭医がもっとがんの検査をするようにすべきである」と専門家が指摘している。
調査では、2006年から2008年までの患者約75万人をさかのぼって、どのようにがんの診断を受けたかを調べたところ、高齢の患者は、救急ではじめてがんと診断されたケースが3分の1を占めた。
健康診断が日常的に行われている日本と大違いである。
健康診断がどのくらい有効かという議論があるが、週刊文春でも書いたように早期のがんが見つかっているのは事実である。
健康診断が受けられる日本はいいといえるだろう。