伝えておきたいこと

エンディングノートに、自分史を書く部分がある。小学校、中学校、高校と熱中していたこと、好きだった科目、得意だったこと、印象的な先生や友人、自分のニックネームなどを書いていく。卒業後は年代を追って、熱中していたこと、巡り合った人、思い出を書いていく。こうしてこれまでの自分を振り返る。振り返ることで、いまの自分を見つめることになるのだろう。これは悪いことではない。
自分を振り返ることをめったにしないだろう。それが自分を見つめることになる。そして、これから先どのように生きようとしているかにつながっていく。
自分を見つめることは必要なことだ。自分史を書くことはそのきっかけになる。


かつて尊敬する友人から、「伝承」の重要性を聞かされた。
彼いわく伝承という行為ができるのは、人間だけだそうだ。
文字をある程度理解できるチンパンジーがいるが、そのチンパンジーに子どもが生まれた。その子どもが親と同じように文字が理解できるわけではないようだ。最近の研究では、子どももかなりの知能を持っていることが確認されたが、まだまだ。真似をすることができても、親が獲得したことを教えることは高度な技術なのだろう。
わたしたちも、子どもや若い人たちだけでなく、自分たちが経験し、知っておいてもらいたいことを伝えることが重要だ。
その伝えるべきものは人によって異なるだろう。



そして、伝えるものは、生きているうちに伝えておきたい。
書き残してあったものを読んで、そう考えていたのかと知ってもいいのだが、やはり直接話して伝えておく。話を聞いた子どもたち、若い人から異論が出るかもしれない。そこできちんと話し合う。


いまあなたが伝えたいことは何ですか。