痔は誰にも起こる病気

色気と痔の気のないものはいないといわれるくらい、痔はポピュラーな病気である。
4足歩行から2足歩行に移行した人類の宿命ともいわれている。4足歩行の動物は心臓と肛門の高さがほとんど同じで、肛門部にうっ血が起こらない。肛門部には静脈叢といわれる静脈が集まっている。この静脈叢に血液が滞り、かたまりになる。これが痔核だ。
痔核には、内痔核と外痔核があるが、ともにうっ血が原因。このうっ血は、長い生活習慣がつくりだす。わたしのようにトイレで本を読む習慣があり、すっきり排便しようといきんだりすることでうっ血が起こり、それが日常になって、痔核をつくりだす。トイレで本を読んでいるときにいきんでいないと思うだろうが、便座に座っている状態とイスに座っている状態はまったく違う。知らず知らずのうちにいきんでいるのだ。
わたしが痔を意識したのは40歳代のころ。
痔核が大きくならなければ、それほど不自由は感じない。しかし、年齢とともに、肛門を締めている周囲の筋力が衰えてくると、痔核が外に出てくるようになる。これも自然に引っ込んでいるうちはいいが、出っぱなしになると痛みが出てくる。排便のたびに押し込まないといけなくなってくる。わたしの場合、夜寝る前に軟膏を入れておくと、痔核もスムーズに押し込むことができたが、いつまでも同じような状態が続き、改善されることはなかった。
そこで、このブログでも紹介した岩垂純一医師に、東京での取材の折に診てもらおうと出掛けた。痔といっても様々なものがあり、肛門より内部にできる内痔核は注射で固める治療もあるし、場合によって軟膏でよくなることもある。
正直、手術が必要とは思っていなかった。
ところが、診察の結果、内痔核だけでなく、外痔核も複数あり、これは手術しなければいけないといわれたのである。
肛門部を自分でじっくり見たこともないから、どのような状態になっているかは知らなかった。痛みがあっても、常にあるのではなく、日常の生活がそれほど大変ではなかった。
しかし、昨年から山登りをはじめたが、もし登山中に痔の具合が悪くなったら困るな、と思っていたし、岩垂医師から放っておいても自然とよくなる方法はないし、これからはもっと悪くなるのは確実といわれ、手術を受けることにした。
(この稿は続く)
からだの出口の話はまだ続くが、からだの入り口である口や歯をいい状態にするためには『歯は磨くだけでいいのか』を読むのがいちばんです。