なるほどと思った話

先日、わたしより少し年上の女性と話をしていて、なるほどと思うことがありました。
それは結婚する相手を選ぶとき、笑えるような出来事に出合ったとき、同じように笑う人を選ぶといいというのです。悲しいときにみな同じように涙を流します。よほどのへそ曲がりでない限り、悲しみは共有できるのだといいます。しかし、笑いはかなりデリケートで、人によってずいぶん違うのだそうです。ですから、ある出来事に対し、同じように笑うかどうかをじっくり見てみる。笑いにも、クスッと笑うものもあれば、大笑いになる場合もあります。この笑いの質が同じであれば、お互いの感情の行き来がスムーズになり、無理をせずに暮らしていくことができる、というわけです。
ひとつの出来事に対し、同じような感情を持つことができれば、ひとつ屋根の下に暮らしていても、苦労はいくらか減るかもしれません。いっしょに暮らす場合ですが、笑いを尺度にして考えるというのは、なるほどと思いました。これはさすが経験者の話です。
笑いというコミュニケーション手段は、言語によるコミュニケーションより前からあるもので、非常に原始的なものといわれています。
なぜ笑うのか、どんなときに笑うのでしょうか。
最近の学説によると、自分の間違いを笑うのではないかということです。たとえば、尊敬する人が何かにつまずいて転んだとします。転ぶことは誰にでもあることですが、あの人は転ばないだろうと思っていた、そんな思いこみが外れたときに笑うのです。
自分の間違いや思いこみを客観的に見ることができる人ほど笑うとなると、これは頭がよくないとできません。脳科学の専門家が、バラエティ番組を見てよく笑う子どもほど知能が発達しているという調査結果があるといっていましたが、これもなるほどと思いました。
また、笑うと、目のくぼみの上にある前頭眼窩皮質が働いて、エンドルフィンや成長ホルモンが出ます。エンドルフィンはからだの痛みだけでなく、心の痛みといいますか、ストレスを和らげます。笑ってすっきりするというのは本当なのです。笑うと血流がふえたり、免疫力を強くしたりすることはわかっているのですが、遺伝子を活性化させるのではないかといわれています。
長寿遺伝子は、かつて洋服のようなものとたとえました。たとえば、洋服ダンスに洋服が並んでいますが、しょっちゅう着る服もあれば、冠婚葬祭のときにしか着ない服もあります。いつも同じものばかり着ていれば、わたしたちの遺伝子にもそんな変化は起きませんが、滅多に着ないものを着るとそれが刺激になって、遺伝子が動き出します。これを活性化といいますが、服を着替えるように、運動、食事といろいろ工夫して、長寿遺伝子を活性化させましょうというわけです。
笑いもあまり着ない服を着たときのように遺伝子を刺激することがわかったのです。笑いが免疫力を高めることが知られてきましたが、遺伝子の発現にも関係していたのです。
できるだけ笑いましょう。
きれいな白い歯を見せながら笑うために、『歯は磨くだけでいいのか』をお読みください。