この本を書いたわけ

知り合いの大学教授が、誕生日のメッセージの返信に「時間は、現在のわたしにとって、広く開かれたものではなく、より限られ、閉ざされようとしている。だが、そこにはもらったものがある。ありがたく受けて止めている」とありました。
確かに、もうわたしも若くはありません。人生の時間は限られている、ということをしみじみ感じています。これからの人生をどのように生きるのか、もらったものをどのように帰していくか、それをきちんと考えなければいけないと。


人はいずれ亡くなります。病気だけではありません。交通事故に遭うかもしれないし、東日本大震災のような災害に遭うかもしれません。
友人から、何が起こるかわからないから、準備を大切にね、といわれました。わたしが人に勧められる準備とは何だろうと思い、「死に至る病」を調べ、その対策を紹介しようと思い立ちました。


死に至る病』のはじめに、で書きましたが、自分は絶対病気にならないと豪語していた人が、身に覚えもない病気にかかり、亡くなってしまいました。健康であることを過信し、健康診断も受けなかったし、ちょっと自覚症状らしきものがあっても、自分は大丈夫と思いこみ、医師に診てもらうことしなかったために、病気が見つかったときは手遅れでした。
細菌やウイルスによって起こる感染症のように、突然襲ってくるものもありますが、多くの病気はジワリジワリとからだの中で勢力を伸ばしているのです。ただし、自覚症状だけに頼っていては見つけることはむずかしいものもあります。しかし、検査を受けていれば発見される病気もあり、自分のからだの変化に耳をそばだてているとわかる場合もあります。
死に至る病というと、なにかたいへん大仰な感じがするでしょうが、いずれ病気によってからだがむしばまれ、わたしたちは死を迎えます。

まず、するべきことはなんでしょうか。死に至る病にはどんなものがあるかを知っておくことです。「彼(敵)を知り、己を知れば、百戦あやうからず」です。
からだの変化を知るための目安となるよう、チェック項目も入れました。こうした自覚症状が出ない場合もありますが、常に自分のからだの変化に気を配っていれば、死に至る病を防ぐこともできます。医学の進歩もありますが、検査技術も著しく高くなってきています。気になる症状があったら、医師に相談しましょう。健康長寿を目指すなら、まずは病気の知識から。そして、必ず手を打ちましょう。
死に至る病・チェックブック]』を紹介します。