認知症は誰もがかかる病気

奥さんが認知症になり、すぐ忘れてしまうので困ってしまう、といっている人がいる。
この人が偉いのは、妻が認知症であることを隠さずに、皆の前で伝えていることだ。
身内が認知症だと認めるのはなかなかできない。さらにそれを、人の前でいうのは抵抗があっただろう。
しかし、人が集まる所にも連れて行き、認知症ですが、よろしくお願いします、といっている。本当に偉い。
そして、もしどこかで妻を見かけることがあったら、必ず声をかけてくださいと付け加えていた。これも大切。


認知症は、誰もがかかる可能性のある病気である。

そこで、認知症を早く見つける方法をお教えしよう。
1ひとつも思い出せない
5つの品物をいって、5分後にどのくらい覚えているかを調べると、60歳ぐらいから思い出すことができる数が減っていく。80歳ぐらいになると2個ぐらいになってしまう。じつは、これはふつうに起こることだが、5つの品物をひとつも思い出せないとなると、認知症の疑いがある。
2誰だかわからない
顔はわかっているのに、名前を思い出さないということがよくある。ところが、認知症になると、名前どころか、よく知っている人の顔まで忘れてしまう。忘れてしまうのは、ごく親しい近所の人から、家族の顔まで。こうなると認知症と思ったほうがいい。
3しょっちゅう探し物をしている
よく探し物をしているが、認知症になるとその頻度が異常に多くなる。今度こそ忘れまいとして仕舞っておくのだが、その場所を忘れてしまうようになる。そして、誰かにとられたなどと邪推するようになる。
4食べたこと自体を忘れてしまう
5約束した覚えがない
「約束したでしょ」といわれ、うっかりしていたことは誰にもあるのだが、認知症になると約束したこと自体を忘れてしまう。「そんな約束したことがない」と逆に怒り出す。部分的なことでなく、事柄全体を忘れる特徴である。
6自分の間違いに気がつかない
自分の記憶の間違いや障害に気がつかない。物忘れがひどいのだが、歳相応だろうとか、場合によっては人のせいにしている。周囲とのトラブルがよく起こるようになる。
7日記や家計簿をつけなくなる
長年日記をつけてきた人が、漢字を思い出せなくなってひらがなが多くなり、しかも内容が単純で断片的になる。そのうち書くこと自体がおっくうになり、日記をつけなくなる。家計簿も同じように計算力が落ちてくるためにつけなくなる。
8年賀状を出さなくなる
毎年書いている年賀状だが、宛名を書いたり、送り先を調べたり、けっこう面倒なもの。認知症になると、まとまった文章が書けなくなり、整理もできなくなるので、年賀状をもう出さなさいといったりする。
9釣り銭が計算できない
計算力が落ちるので、買ったものの値段とそれに見合うだけのお金を財布から出すことができなくなり、とりあえず大きなお金を出しておつりをもらうものだから、財布がいつもパンパンに。
10着ているものに無頓着になる
服装をかまわなくなる。なんとなくだらしくなくなり、薄汚れたものを着ていても平気になる。
11総合的な判断力が衰える。
情報をとりこみ、それを蓄積した知識と照らし合わせ、判断し、行動していくのだが、こうした一連の知的な働きができなくなる。無意識にできていた日常的なこともむずかしくなってくる。たとえば、料理の味が変わってしまうのも認知症のはじまりのことがある。味付けそのものがわからなくなるだけでなく、料理をつくる段取りができなくなるからだ。
いろいろ並べてきたが、いくつか思い当ることがあれば、医師に相談すること。