三谷幸喜作『君となら』

三谷幸喜作演出の『君となら』を観てきた。
「もしも娘の恋人が、父親以上に歳のはなれた人物だったら…。
好きだけど隠したい、そんな彼が突然家に訪ねてきたら!
嘘が嘘をよび、劇場を笑いと誤解で満たす、抱腹絶倒の傑作お茶の間コメディ。」(宣伝パンフより)
父親を草刈正雄、長女が竹内結子、次女がイモトアヤコ、歳のはなれた恋人を小林勝也などが演じている。
娘の恋人を青年実業家と思っている両親、恋人は実際実業家ではあるが父親よりははるかに年上、73歳という設定。両親は思い込みをなかなか正すことができず、すれ違い、思い違いをくり返す劇は、笑いのつぼがあちこちにあり、劇場はずっと笑いに包まれていた。


確かにおもしろかった。


しかし、いま娘が73歳の老人と結婚するといってきたら、いずれもしくはすぐに訪れるに違いない介護を心配してしまい、なかなか笑うことはむずかしいだろうな、と。
この舞台の初演が1995年と知り、なんとなく納得した。
いまから20年前である。当時から高齢者の介護状況はあったが、いまほどではなかった。高齢者というと介護をすぐに思い浮かべるイメージはそれほど強くなかった。だから、成り立っていたのだな、と。
この20年の間に、社会が大きく、高齢化社会の真っ只中にある。
わたしたちも、年齢を意識し、自らの最期を考え…、いかん、また、仕事がらみになってしまった。


まあ、おもしろかった。草刈正雄さんがよかったね。個人的にイモトアヤコのファンなので、彼女はもちろんよかったよ。元気がよくて、笑いのつぼを知っているしね。
初演は、恋人を佐藤慶、お父さんの役を角野卓三。これまた面白かっただろう。テレビを再放送を観たことがあるが、佐藤さんが秀逸だったな。
今回は、演出が作家自身。三谷さん独特のテンポの良さはもちろんだが、笑いのつぼのつくりが圧倒的にうまい。
いや、おもしろかった、です。


自著『自宅で死にたい』は高齢社会の真っ只中で生きるために、ぜひ読んでいただきたい。
しつこいですが、よろしく。