口は目よりものをいう

歯の話題。
ともにテレビ番組ですが、ひとつは『プロフェショナル』。興味のあるテーマをよく取り上げるので、見ることが多い番組ですが(ほとんどPCで見ていますが)、先日は、『歯は磨くだけでいいのか』(文春新書)で取材させていただき、たいへん感心した酒田の熊谷先生が登場。山形県酒田という地方都市で、最先端の歯科医療を行っている歯科医師です。とくに、わたしが感心したのは、虫歯だけでなく、歯周病も細菌の感染から起こることを早くから患者さんに知らせ、そして周知するために、初診で口中の細菌の検査を行い、さらに、口の中がきれいに(細菌の除去がある程度できたら)なってはじめて治療も行っている歯科医師です。
口の中が細菌であふれているような状態でいくら治療を行っても、何度も虫歯になるし、歯周病は進んでしまいます。
歯科の世界では、虫歯も歯周病も細菌が原因であることは歯科医師、歯科衛生士なら誰でも知っていますが、それを患者にも知らせ、それを十分に理解したうえで治療を行っている歯科医院が非常に少ないのです。
多くの歯科医は、その技術で虫歯を治療し、歯周病の手術を行い、場合によっては入れ歯をつくっていますが、それは歯科医療の一部であり、虫歯菌、歯周病菌の除去が絶対必要です。
よく考えてみれば、当たり前です。細菌などがうようよいるところで、手術をする医師はいません。衛生状態が悪くて、仕方がない場合もあるでしょうが。現代日本で、これだけ衛生状態がよくなり、除菌の方法もあるのに、それをしないのは歯科の世界だけでかもしれません。
熊谷先生は、口の中をきれいにすることの重要性を早くから訴え、その方法も歯科医にいろいろとレクチャーしてきましたから、その考え方、日常を伝えてくれるのは、さすが『プロフェショナル』と感心しました。
いっぽう、同じテレビ番組ですが、朝の番組で口とからだの病気の関連を取り上げていました。口の中の細菌やウイルスが、インフルエンザ、肺炎、そして糖尿病などと関係があることが、次々と解明されてきましたので、これはいい番組だなと思ったのですが、その中では、相変わらず歯を磨くことを推奨するだけで、細菌の除去までは紹介しませんでした。もちろん歯を磨くことも重要だが、残念ながら歯を磨くだけでは虫歯も歯周病も防ぐことも進行を食い止めることもできません。
これが、いまの歯科の世界なのでしょうか。しかし、どれだけ遅れているんだ、と少し憤っています。歯はもちろん磨く必要があります。歯を磨くだけでは、口の中の細菌を減らすことはできても、除菌というところまではできません。バイオフィルムという、ぬるぬるした膜が歯にできてしまうと、その中で細菌はどんどん増殖していきます。バイオフィルムをとるには、PMTCを受けなければなりません。PMTCをするのはおもに歯科衛生士です。3ヵ月に1度受けていれば、バイオフィルムもはびこらなくてすみます。歯磨きの程度(技術)によって異なりますので、正しい歯磨き法を教えてもらうことが大切です。
口の中をきれいに保つことで、虫歯や歯周病はもちろんですが、肺炎、糖尿病、インフルエンザなども予防できるのです。
 口腔内の細菌の除去という観点が非常に重要なのです。ぜひ入れてほしかったですね。
歯は磨くだけでいいのか』をぜひお読みください。