紫外線の害から身を守る

日光浴で皮膚に害を及ぼすのは、紅斑という症状が出始めてからである。紅斑とは、わかりやすくいえば日焼けのことだ。
日焼けを起こす前に日光浴をやめれば、害はないといえる。
そこで、国立環境研究のデータでも、日焼けが起こるまでの時間も調べている。
調査時点は、同じく札幌、つくば、那覇である。時間帯も同様に7月の9時、12時、15時と12月の同時刻である。
紅斑が出始めるのは、
7月でいうと、9時では、札幌39分、つくば32分、那覇46分
12時では、札幌25分、つくば20分、那覇16分
15時では、札幌64分、つくば52分、那覇29分。
12月となると、9時では、札幌714分、つくば313分、那覇294分
12時では、札幌227分、つくば98分、那覇42分、
15時では、札幌1667分、つくば625分、那覇86分。
冬の日光浴で日焼けを起こすことは、ほとんどないといってもいいだろう。
夏でも、12時といういちばん紫外線の強い時間帯を外せば、40分から50分ぐらいの日光浴は心配はなさそうだ。
これを見ると、ビタミンDを摂取するために必要な日光を浴びる時間は短い時間でいい。そして、時間をきちんと守っていれば、日光浴はビタミンDの摂取にたいへん有効な方法といえる。
紫外線の害として、もっとも怖いのが皮膚がんである。オーストラリアでは、強烈な紫外線によって皮膚がんが急増し、外出時には日焼け止めのクリームなどを塗り、さらにつばの広い帽子をかぶり、長袖シャツを着ることが奨励されている。男性も短パンのような短いパンツを履かないようにいわれている。ただし、この警告は白人種が対象である。
ご存じのように、オーストラリアを占領したイギリス人はメラニン色素の少ない(正確にいうとメラニン色素をつくる細胞が少ない)白人種である。メラニン色素が少ないことには理由がある。それは少ない日光を有効に利用するためである。北欧をはじめ、ヨーロッパでも北にある国々で健康に生活していくために、日光のメリットを享受するためにメラニン色素が少なくなったといわれている。イギリスもその中に入る。
そんな彼らが日光の強い地域で暮らすには無理がある。現在、オーストラリアなど日光の強いところで生まれ育った白人の間でも、メラニン色素がふえる傾向にあるという。
さて、わたしたちだが、亜熱帯に住んでいる。紫外線の強い夏にはメラニン色素が働いて皮膚を守り、冬はあまり働かないようになっている。その結果、皮膚がんになる人は少ない。
少ないといっても、オゾン層の破壊などによって皮膚がんが少しずつふえてきている。皮膚がんを防ぐためにも日光浴も時間を守ることが大切だ。
夏なら、紫外線の強い昼ごろを避け、30分から40分。それ以上日に当たるようなら紫外線を防ぐための方法を守る必要がある。