15年以上かけて進行していく病気

新しい健康雑誌の創刊編集長を下り、忙しい時間が去り、少し余裕ができたので、カミさんが通っていた腎臓の専門医に診てもらうことにした。
新たに検査を受け、右の腎臓が萎縮していることが再度確認され、左の腎臓も徐々に弱っていることもわかった。
なぜ腎臓が弱ってきているのか、腎臓の組織の一部を取り出して調べればわかるが、そのときに腎臓をさらに傷つけてしまうことも考えられ、検査はせずに様子を見ていくことになった。
このとき専門医から「治療法がなくて申し訳ない。でも、新たに治療法が見つかる可能性もありますから、長生きしてくださいね」といわれた。
その言葉は忘れられない。
東京をはなれ、八ヶ岳南麓に住まいを移し、病院も転院した。
現在の主治医も検査結果を見て、腎臓の状態を示すクレアチニン1.53と基準値より高いが、それほど心配はいりませんといわれた。
血圧を下げ、かつ腎臓を保護する新薬を服用していた。
その後5年ほどクレアチニンの値は2.0を超えていったが、まだまだ腎臓の機能はそれほど衰えていなかった。
それから5年たち、クレアチニンは3を超え、4に迫りつつある。
じつは腎臓の機能は、急激に衰えるといわれていた。
転院した病院の医師から、60歳を過ぎると一気に悪くなりますといわれていたが、それでも10年はもった。
わたしの場合、糖尿病などの合併症で腎臓が悪くなったのではない。
原因は、相変わらず不明だった。
それがわかったのは、2011年ことである。
この経緯は自著『自宅で死にたい』(バジリコ)にくわしい。
なかなか劇的な発見だった。