腎臓がなぜ萎縮したのか1

右の腎臓は萎縮して機能はほとんどしなくなってきた。そして左の腎臓も徐々に悪くなっている。
腎臓はふたつあるので、ひとつがダメになっても、もうひとつが丈夫なら心配はいらない。わたしの友人で、交通事故に遭い、片方の腎臓は失ってしまったが、残った腎臓が十分に片方の代わりをしてくれ、わたしとほぼ同い年だが、元気に過ごしている。
片腎でも元気な人はかなりいるようだ。
わたしの腎臓は、もともとあまり丈夫ではなかったのかもしれない。父は、晩年透析を受けていた。どんな病気が背景にあったのか、知らされていないが、おそらく長年の高血圧が原因と思われる。高血圧を放っておくと、腎臓の中の細い動脈が動脈硬化を起こし、その結果腎臓が萎縮して硬くなり、機能低下に陥る。腎硬化症である。腎硬化症から腎不全になり、透析が必要になる場合がある。
30代のころ、編集者として忙しい日々を送っていたが、そのときに背中のベルトの当たるところに鈍痛があった。腎臓はからだの奥にある臓器だが、ひょっとするとこのときから少しずつ痛んでいたのかもしれない。タンパク尿は出ていたし。
腎臓が萎縮してしまった原因はわからなかった。
八ヶ岳南麓に住まいを移し、病院も転院した。東京の専門医に紹介してもらった病院で定期検診のほかに、年に1度超音波による画像診断を受けていた。膀胱の画像診断を受ける際に、おしっこをためられるだけためて診察を受けると膀胱の状態が鮮明にわかる。いつもおしっこはたまっていますかと尋ねられたが、じつはあまり十分にたまっていなかったようだ。2011年62歳のとき、いままでになく十分に膀胱に尿をためることができた。多少我慢すればいいことだが。
膀胱の画像がきれいにとれた。右の腎臓はこれまでの検査と同様に萎縮し、明瞭でない。腎臓と膀胱を結び、尿を排泄している尿管に影が見つかった(突出しているものが見えるとある)。尿管と膀胱がつながる当たりである。このときの画像診断の所見をもらったが、図入りで問題点の指摘があった。
主治医は、すぐに同じ病院の泌尿器科の医師に連絡をして、診察を依頼した。わたしが医療ジャーナリストであることを知っていたので、知り合いの泌尿器の医師がいれば、紹介状を書きますといわれたが、仕事は詰まっていたこともあり、同病院の泌尿器科を受診した。
そこで、膀胱鏡を入れて確かめるといわれたのである。