膀胱のお休み処

膀胱憩室が見つかった。
膀胱憩室とは、膀胱から尿道(おしっこの出口)までの間でなんらかの障害が起こり、膀胱に尿がたまって膀胱内の圧力が高まり、それに耐え切れず、膀胱の一部が外側に出っ張ってしまった状態をいう。
特別に症状がなければ、経過観察となる。
憩室という書くと、まるでお休みどころのようだが、わたしの場合はとんでもなかった。
いまかかえている腎臓病の原因だったからである。
膀胱から尿管を経て腎臓に尿が逆流してしまうのは、乳幼児に多い病気だが、わたしのように膀胱憩室が原因で逆流するケースはあまりないようだ。
本来、尿としてからだの外に出されるべきものが、腎臓に戻ってしまい、腎臓が細菌などによって侵され、炎症を起こし、最終的に萎縮する。
腎臓に常に炎症があるので、慢性腎炎となるわけだが、それは尿からたんぱくが出ていたり、潜血反応があったり、血液検査でも確認できる。
この状態が長く続けば、腎臓はその機能が果たせなくなり、人工透析を受けるしか、命をつなぐことはできない。
わたしの場合、右の腎臓は、ひょっとすると子どものころから弱っていて、左の腎臓も徐々に悪くなっていったのかもしれない。


腎臓病とは、しかし厄介なものだ。
まず、いままで雑誌や単行本で書いてきた健康を維持増進させる食べものが食べられない。
なかでもカリウムは血圧を下げるミネラルとして、積極的にとることを勧めてきた。バナナ、ジャガイモをはじめ、新鮮な野菜に多い。
しかし、いまはカリウムをできるだけとらないようにしている。
腎臓が機能しなくなってきているので、いらなくなったカリウムが排出されない。
あまったカリウムが心臓の筋肉に働いて心筋梗塞を起こすことがある。
これを防ぐにはカリウムの摂取を控えるしかない。
カリウムを積極的にとって血圧を下げることができなくなった。
現在、カリウムの多い野菜のほとんどは食べる前に茹で、かつ茹でたときに出る茹で汁はすべて破棄する。
たんぱく質もとりすぎないようにするなどに注意なければならない。
いやはや面倒なことだ。