横断報道が渡りきれない

NHKで認知症に関する特集がありました。
この中で、目新しいことといえば、認知症といわれる前の段階、軽度認知症といわれる状態があり、このときに、適切なトレーニングなどを行うと、その状態から脱出でき、元に戻れるということです。
軽度認知症は、脳の中でのネットワークがあまり働かない状態であることがわかりました。
脳のネットワークは正常に動いていると、たとえば人ごみを抜けるとき、向こうからくる人をかわしながら、自分の行く道を見つけていけるのですが、ネットワークが衰えてくると、これがむずかしくなり、人ごみで歩くのに時間がかかったり、歩行そのものがよたよたしていきます。
以前、サルコペニアを紹介したとき、横断歩道を歩きはじめて途中で信号が変わってしまうようでは、歩くための筋力が衰えていると話しましたが、それと同様に、的確に素早く判断ができないので、横断歩道を渡りきることができないようです。
歩くときとのリズムが悪いのも原因のひとつ。ふつうは、何も考えずにスーっと歩けますが、ちょっと躊躇してしまい、歩き方がふらふらする、その結果、遅くなって周囲の人に抜かれてしまう。
この軽度認知症の状態のときに、適切なトレーニングをするということですが、それは特別なものではありません。
1週間に3回、1時間の早歩きをするというものです。
これがむずかしいなら、1日10分でいいから息が上がるくらいの運動を、3回に分けてしてもいいということでした。
息が上がる程度の運動というと、歩く速度でいえば、歩幅を少し広げて歩くこと、歩幅を5cm広げるだけでもずいぶんといい運動になるようです。
早歩きと普通の歩きをまじえて歩く、インターバルウォーキングの話をしたことがありますが、これも10分ぐらいなら簡単にできるでしょう。速歩を5分、ふつうの歩きを5分ぐらい。
わたしもいま住んでいるところにすぐ近くに、昔山城があった山塊があります。標高911mですから、それほどの山ではありません。道路がほとんと舗装されていますので、普通の靴でも登れます。それでも山ですから、登りでは多少息が切れることもありました。これくらいのウォーキングを1週間に3回がいいのでしょう。
認知症を予防するという目的だけでなく、このくらいのウォーキングを日課にするといいと思います。
サルコペニアも防げるし、運動不足も解消でき、肥満予防になります。