一周忌

昨年2月、息子のお嫁さんのお父さんが突然亡くなられた。
あれから一年、一周忌に高知に行ってきた。


しかし、高知も10年に一度という寒波に見舞われ、予定していた法事を一日繰り上げ、菩提寺で御経をあげてもらい、お墓参りだけをしてきた。


高知にはお父さんの子どものころからの友人も多く、船から降りると皆で集まり、お酒を酌み交わすのが何より楽しみだったという。
友人は船に乗っている人がほとんど。
一周忌には、みなで集まってとことん飲もうという算段だったようだ。

ところが、足摺には雪が降り、市内も雲行きが怪しいと、お斎(とき。精進落としは葬儀のあとに行うもので、一周忌後の会食はお斎というようだ)は繰り延べになった。
お斎には本来、お酒は飲まないようだが、そこはお酒好きの多い高知だし、お父さんも宴会が好きだったから、飲むことになっただろう。
これができなかった。


お斎は繰り延べになったが、お母さんの友だちたちがわたしたちを歓迎してくれた。
はじめて会う人たちばかりだが、高知のお母さんが、医療ジャーナリストで、本を書いているし、ラジオの番組を持っているなどと喧伝してくれていたものだから、好意を持って接してくれ、わたしはじつに居心地がよかった。


彼女たちの話も聞いていると、みなきちんと自立し、自分をしっかり持っていることがよくわかる。


土佐では、男性に負けずに働く女性がじつに多い。
「いごっそう」といって頑固で融通のきかない土佐の男をいうが、女性は「はちきん」という。男勝りで、8個の玉を手玉にとる(男性4人をさす)という意味だそうだ。ちと怖い。



嫌なことがあってもウジウジすることなく、前に向かっていく。
そんな姿が目に浮かぶ。


眼前に太平洋がドーンと広がっているので、そんな風景に影響されるのか、話を聞いていて、何かすがすがしい。
気持ちがいい。

土佐がすっかり気に入ってしまった。
山の中で生活していると、気が滅入ることがあるが、海は気分を解放してくれる。
海辺の生活もいいな、としみじみ思った。