トイレのふたは何のためにあるのか
いよいよインフルエンザのシーズンがやってきました。
今年は暖冬で、例年より降水量が多く、乾燥状態が続きませんでした。
インフルエンザは、乾燥状態が続き、のどや気管支の防衛機能が低くなると、感染しやすくなります。
例年ではインフルエンザの流行宣言は一ヵ月以上前になります。
インフルエンザ、ノロウイルスというウイルスによって感染する病気には、抗生物質のような特効薬はありません。
インフルエンザに対して使われる薬は、ウイルスがからだの中でふえないようにするもので、ウイルスを殺すことはできません。
インフルエンザにかからないようにするには、いまのところ予防接種を受けておくのがいちばんです。
感染症の専門家に取材をすると、まず手洗いを勧められます。
インフルエンザの場合、飛沫感染と接触感染のふたつがあります。
飛沫感染は、咳やくしゃみをしたときなどに細かい水滴にウイルスが含まれていて、それが飛んでいってうつります。
水滴の重さから飛んでも1〜2m以内。感染させないためにはマスクが有効です。予防にも役立ちます。
接触感染は、インフルエンザに感染している人が咳などをしたときに、手で口を抑えると、ウイルスが手につきます。
その手でドアノブやスイッチなどにさわります。
健康な人がそのドアノブやスイッチにふれることで手や指にウイルスがうつります。
ウイルスがついた手で口や鼻などをさわり、うつっていきます。
わたしたちは自分では意識していないのですが、しょっちゅう手で口元や鼻をさわっています。そこからウイルスが侵入するのです。
ノロウイルスは、インフルエンザより感染力が強く、患者さんが吐いたものが渇き、ホコリとともに舞い散ってそれを吸い込んでも感染します。吐しゃ物などの徹底した清掃が必要です。
流行のシーズンに入りましたので、外出から帰ったら必ず手洗いをしましょう。食事の準備をする前にも必ずやってください。
手洗いは習慣になると、手を洗わないと気持ちが悪いというようになります。
病院などで働く医療従事者には1日に100回ぐらい手を洗いなさいという専門家もいるくらいです。
これは手洗いを習慣にしましょうという提案だそうです。
手洗いは流水で行うこと。水をためてやっていけません。そんなことをしている人はいないでしょうが。
指の間、つま先、手首までしっかり洗いましょう。
ノロウイルスの話を少ししましたが、感染すると胃腸の具合が悪くなります。下痢をすることが多くなります。
排せつした便は水溶性の可能性が高く、トイレの水に跳ね返ってお尻につくこともあります。
手をよく洗ったとしても、洋服の袖などについて室内に持ち込むこともあります。お尻を拭くときは袖まくりをしっかりしてください。
さらに、もうひとつ。トイレの便器にはふたがついています。
ふたを開けたままで流すと、微生物(ウイルスなど)が飛び散り、90分間空中を漂っていたという研究報告もあります。
トイレのふたをしたあとで流すように習慣づけましょう。大便にしても小便にしても同様に。
男性もトイレに座って用を足したほうがよさです。飛び散りませんからね。
なんとなくそれがいやという男性の気持ちもわからないではないのですが、いまは流行シーズンですから。
ちなみに、トイレを保温している人が多いと思いますが、ふたをしておくと保温効果がありますよ。
八ヶ岳ジャーナル(2月1日号)の原稿を一部改変しました。