からだの中で知らないうちに炎症が起きている

父は晩年、人工透析を受けていた。


透析を受けて2年ほどたったころ、血栓ができ、足の血管が詰まってしまった。
透析機器のような機械的なものの中を血液を通すと、血栓ができやすくなる。
父は病院からたくさんの薬を渡されたが、そのすべてを飲んではいなかった。
なかに血栓ができにくくなる薬もあったと思うだが、もっと相談にのればよかったと、少し後悔をしている。


できてしまった血栓を取り除くことができず、足に壊疽が起きた。
医師には、足を切断しましょうと提案された。
父に、足の切断の話をすると、
「もうずいぶんと生きてきたから、十分だ。足を切断しても生きようと思わない」
と答えた。


血栓ができたために、血液が届かなくなるために、先の組織が死んでいく。
また、わずかな擦過傷に対しても、白血球などの免疫が働かず、細菌が蔓延し、組織が壊死することもある。
その組織が死ぬと、腐敗菌の感染を受けて腐敗してくる。その状態が壊疽で、黒色化する。


足の切断を勧めた医師は、「からだの中を炎症因子がめぐってしまいます」といった。
いまなら炎症因子とは、細菌のことだろうとわかる。
そのときは、炎症因子という言葉がよくわからなかった。


父はすぐに亡くなることはなかった。
これはわたしの推測だが、血液透析を受けていたのがよかったのかもしれない。
しかし、2ヶ月後、父はあっという間に亡くなった。
その朝、看護師と話していたそうだが、直後に急変したという。
わたしも含め、兄弟は誰も父の死に目には会えなかった。


そのときから、炎症因子という言葉が忘れられず、ずっと気になっていた。


最近、慢性炎症が、認知症をはじめ、がん、糖尿病などと関係があるといわれ、興味がある。
炎症因子が原因だ。この場合の炎症因子は何だろうか。
じつはわたしのからだにも炎症が起きている。
それは腎臓で起きている。
徐々に腎臓の状態は悪くなってきている。
慢性の炎症を抑えることが少しでもできれば、人工透析にうつる時期を遅らせることができるはず。
別段長生きをしたいと思っていないが、もう少し元気に生きていたい。
そのために。慢性炎症を抑える方法を実行している。