疲れは脳がつくっている

なぜ疲れるのか。疲れるとはどんな状態のことをいうのか。疲れをとるためにはどうすればいいのか。


疲労は、誰もが経験すること。疲れないという人はいない。
わたしの例でいえば、疲れたなと感じるのは集中して原稿を書いていたとき(残念ながらこれはめったにない)。
車の運転を続けていたとき(疲れたなと感じるだけでなく眠くなる。危険)。
また、先日、田んぼで草取りをしていたが、そのときに疲れた。


頭もからだも使いすぎた結果、疲れると思いがち。
そこで、疲労の研究を専門的にしてきた大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授の梶本修身(おさみ)氏が執筆された『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書)を読んだ。
この本の中で、頭を使ったときはもちろんだが、肉体を使った場合でも、疲労しているのは脳だという。
疲労を感じるのは脳で、脳自身が疲れるので疲労を覚える。


わたしたちが疲れたなと思うとき、最初に訪れる状態は「飽きる」だという。
確かに、原稿を書いていて飽きるし、車の運転が単調になって飽きる。
田んぼで田車を押したり引いたりして草をとるのだが、田んぼは長方形なことが多い。
田んぼの端から端まで田車を押したり引いたりしていると、田んぼの端がやけに遠くに感じて、
田車を押したり引いたりすることに飽きてくる。



飽きるという状態が、疲労のはじまり。
「飽きる」の次が「疲れる」、そして「眠くなる」とつづく。


著者は、疲労は脳に活性酸素がたまって働きが悪くなるからだという。
脳を使う、からだを使う、ともにそのコントロールしているのは、脳である。
脳がエネルギーを使うと、それだけ活性酸素も生まれる。
活性酸素が消化されていればいいのだが、消化が間に合わないほどたまってくると、脳が疲れて疲労につながるのだ。


高速道路で車を運転しているとよく実感するが、高速道路に乗った当初は、緊張している。
後ろからくる車、前を走っている車(数台先の車まで)に気を配り、慎重に運転している。
ところがしばらくして慣れてくると、それほど注意深く運転しなくなってくる。
前の車を追い越すときは多少緊張するが、流れにしたがって運転をしているときは、緊張もしない。
そして、これがつづくと、運転そのものに飽きてくる。


たくさんの刺激が目を通して、脳に送られてくるが、その処理ができなくなってくると、「飽きてくる」という状態になる。
運転になれるのではなく、脳が疲れはじめている。
周囲の車や景色にも飽きてくる。
そして、疲れる、眠くなるという状態になる。
車を運転していて、1時間に1回休むのと3時間に1回休むのでは、疲れ方が違う。
1時間に1回休むと疲れがかなりとれる。サービスエリアで休んだり、トイレに行ったり、飲み物を飲んだりすることがいい。


1時間に1回休めば、疲れずに運転が続けられるようだ。
今度からそうしよう。