健康ゴールド免許の欠点

健康ゴールド免許が話題になっている。
以下に、その内容を抜粋する。
あくまでも抜粋なので、もっとよく知りたいという方は、http://shinjiro.info/20161026message.pdf


「病気になってから治療する」だけでなく、そもそも「病気にならないようにする」自助努力を支援していく。
 医療介護費用の多くは、生活習慣病、がん、認知症への対応である。これらは、ふだんから健康管理を徹底すれば、予防や進行の抑制可能なものが多い。
 しかし、現行制度では、健康管理をしっかりやってきた方も、そうではなく生活習慣病になってしまった方も、同じ自己負担で治療が受けられる。これでは、自助を促すインセンティブが十分とはいえない。
 *インセンティブとは、わかりやすくいえば、「やる気を出させること」「企業ではノルマを達成したときに贈る報奨金」「目標を達成させるために行う刺激、誘因」
 
 健康診断を徹底し、早い段階から保健指導を受けていただく。そして、健康維持に取り組んできた方が病気になった場合は、自己負担を低くすることで、自助のインセンティブを強化すべきだ。
 運転免許証では優良運転者に「ゴールド免許」が与えられる。医療介護でも、IT技術を活用すれば、個人ごとに検診結果履歴等を把握し、健康管理にしっかり取り組んできた方を「ゴールド区分」に出来る。いわば医療介護版の「ゴールド免許」を作り、自己負担を低く設定することで、自助を支援すべきだ。もちろん、自助で対応できない方にはきめ細かく対応する必要がある。(以下省略)



 自分の健康は自分で守ることをテーマにしているわたしにとって、健康ゴールド免許という提案はなかなかおもしろいと思った。
 しかし、検診を重視することには疑問をもつ。
 検診の結果、行われる保健指導に力点を置く必要があるからだ。
 たとえば、検診の結果、「もっとからだを動かしましょう」とか「食事に注意して」という程度の保健指導が行われても、それは大して意味がない。
 その人別に細かい指導を行い、それがきちんと実行されているかというチェックが行われなければならない。


 かつて、病院で食事指導を受けたとき、管理栄養士に
「次回の検査のときに、検査結果を見せてください。検査結果を見れば、食事指導を守ったかどうかがわかりますから」
 といわれ、少々ビビった。
 しかし、これが重要なのだ。
 状態を把握し、指導を行い、それができているかどうかをチェックする。
 できなかったなら、なぜできなかったのか、それを確認していく。
 こうした作業がなければ、病気を予防したり、進行をくいとめることができない。
 現行の医療体制で、こうしたことができるだろうか。


 また、自分でできることは何か。
 患者に考えさせ、そのためにどうすればいいのか、理解してもらうことも必要だ。
 「わかっちゃいるけどやめらない」とよくいうが、それは理解していないからだ。
 理解を促す努力が足らないともいえる。

 わたしは、毎日の血圧や体重のチェック、ウォーキングの実施とその内容などを推奨してきた。
 これらは少なくとも、自分で自分のからだを守るために欠かせないからだ。
 しかし、なかなか実行してくれる人が少ない。
 

 『健康ゴールド免許』がこうした取り組みにつながっていくことを切望する。



 だが、しかし、どれだけ自己管理をしても、病気にならないというわけにはいかない。
 生老病死は、生きているわたしたちの『宿命』なのだから。