心臓から血の塊が飛んでくる

冬に多い病気の第2弾です。
脳卒中や心臓病があげられます。


『脳血管障害発症の週間及び季節変動』という論文を読むと、冬に多いのは脳出血と心原性脳梗塞とありました。
1週間の曜日別でいうと、脳の血管の動脈硬化が原因で起こる脳梗塞は金曜日が多いようです。とくに65歳未満で金曜日が多いとのこと。仕事のストレスなどが関係しているのでしょうか。


さて、脳卒中ですが、ご存じのように脳卒中には、脳の血管が破れる脳出血と脳の血管に血栓、血の塊がつまってしまう脳梗塞であります。それともうひとつくも膜下出血があります。このくも膜下出血は季節的な変動は少ないようです。
冬に多いのは、脳梗塞脳出血です。
ともに、血圧が関係しています。


脳出血は血圧が上がり、脳の細い血管が破れて起こります。寒さで血管が収縮して血圧が上がった結果、起こるのです。脳出血脳卒中全体の約20%ですが、死亡率は15%と高いのです。
以前は脳卒中の中でも脳出血が多かったのですが、昨今脳出血は少なくなってきています。それは、栄養状態がよくなり、たんぱく質をしっかりとるようになって、血管が丈夫になったからといわれています。
血栓がつまる脳梗塞ですが、これには3種類あります。ひとつは脳の血管に動脈硬化が進んで血栓ができてつまるもの。ふたつ目はラクナ梗塞という脳の血管の中でも非常に細い血管で起こるもの。三つめが冬に多い脳梗塞です。
それは心臓でできた血栓が、脳の血管まで飛んできてつまる「心原性脳塞栓症」といわれるものです。
心臓でできる血栓は、1センチ超とサイズが大きく、これが脳の血管でつまると、後遺症もひどくて寝たきりになったり、亡くなったりすることが多いのです。ノックアウト型脳梗塞と専門家はいいます。長嶋茂雄さんが襲われたのがこの心原性の脳梗塞でした。


どちらにしても問題は血圧です。
冬に血圧がどんなときに上がるのでしょうか。
専門家は血圧が大きく変動するのは、たとえば夜中のトイレ。暖かい寝室から寒いトイレに行っただけでも上がりますが、いきんだりすれば血圧はグーンと上がるといいます。
また、お風呂も危ない。寒い脱衣所で服を脱ぐと、ここで血圧が上がります。そして、暖かいお風呂にドボンとつかると今度は血管が広がって血圧が下がります。短時間に血圧が急に上がったり下がったりすると、脳卒中心筋梗塞を起こしやすいのです。
お風呂ももう一つ注意しなければならないのは、汗をかくので脱水症状が起こり、動脈硬化があって脳の細い血管がつまりかけているような人は脳梗塞を起こしやすいのです。
脱衣所もしっかり暖めておく、お風呂の温度はややぬるめ、長風呂もよくありません。
入浴前にはお茶でもいいですから、コップ一杯ぐらいの水分を取ることが肝心です。
先日、野辺山の歯医者さんに行ったのですが、トイレにもしっかり暖房が入っていました。トイレや脱衣所は家の中でも寒い場所です。冬の間は暖房を入れておきたいものです。
冬は各部屋の温度に注意して、温度差をできるだけなくしましょう。


脳卒中ですが、ろれつが回らない、手足が思うように動かせないというのが症状です。
専門医は、顔、腕、言葉に症状が出るといっています。
口を真一文字に結んだとき、顔の片方が垂れてくる、両方の手のひらを上に向けているとしばらくすると、どちらの一方が落ちてくる、ろれつが回らない、このうちのどれかひとつでもあったら、脳卒中を疑ってください。
ろれつは回らない、手が震えるといった症状があってもおさまってしまうこともあります。それから48時間以内に脳梗塞を起こすといわれていますので、絶対放っておかないこと。


脳血管に血栓がつまった場合、その血栓を溶かす薬があります。また、血管内の血栓を取り除く手術方法もあります。
ただし、この二つの方法とも時間が問題となります。薬は3〜4時間以内、手術も6時間以内に行う必要があります。
できるだけ早く治療を受けることです。


日々の予防はなんといっても血圧の管理です。
毎日血圧を測って、ふだんの自分の血圧をしっかりおさえておきましょう。自宅で測って上が135以上、下が85以上で、これが数日続くようなら医師と相談してください。
タバコを一服吸っただけで血管がキュッと縮みます。また、ニコチン、タール一酸化炭素が血管の内側の細胞を傷つけ、動脈硬化を進めます。


血圧を下げる運動として、やはりウォーキングなどの有酸素運動です。激しい筋トレなどをすると、活性酸素が出て動脈硬化を促進させるようです。中高年には、無理のない運動がいいです。