10種類の薬を飲む

わたしは、現在血圧を下げる薬を2種類、尿酸の生成を抑える薬、毒素を体外に排出する薬、カリウムの吸収を抑え、血中カリウムを低下する薬、胃酸を抑える薬2種類、ビタミンDの不足を補う薬、むくみをとる薬、過剰なリンの吸収を抑え、血中のリンの上昇を防ぐ薬、全部で10種の薬を服用している。
それぞれ食前、食間、食後という指定があるから、しょっちゅう薬を飲んでいるように思われるかもしれない。
服用している薬の種類も量も多い。
先日、かかりつけの薬局で担当の薬剤師さんと話した。
「薬の種類も量も結構ふえてきましたね」
というと、薬剤師さんは、
「腎臓の働きを薬で補っていると考えると、ずいぶんと進歩してきました。ちょっと前には、なかった薬もありますから」
確かに、わたしのように腎臓の働きが悪くなってきたものにとって、これらの薬はなければ、生きていくことがむずかしい。


心臓が動かなくなれば、それは死を意味する。脳の中で呼吸などをつかさどっている部分に障害が起これば、死が訪れる。
腎臓がその機能を果たせなくなってくると、からだにとって不要となったものや毒素などを取り除いたりすることができなくなる。これが腎臓の基本的な働きだが、ほかに水分のバランスを保ったり、貧血を防いだり、骨の代謝を手伝ったり、そしてさまざまなホルモンの分泌に関係したりと、腎臓は体全体に大きな影響を及ぼしている。
腎臓は心臓より重要な臓器だという人もいるくらい。
そんなわけで、薬によって、わたしの腎臓の働きは補完され、生存を支えてくれている。だから、薬は欠かしたことはない。


しかし、毎月、診察と薬にかかる費用はかなりのものになる。
身体障害者の申請をしたのだが、山梨県ではわたしぐらいでは、3級にはなれなかった。
長野県で診察を受けているので、当時の主治医から、
身体障害者の申請をしてみましょう。いまの状態だと長野県なら3級の資格がとれるので、費用がだいぶ軽減されますから」
といわれ、申請したのだが、山梨県では3級は認められなかった。
4級として認められたのだが、保険適用以外は支払わなくてはならない。費用の助成はない。


じつは、薬を服用し、きちんと診察を受けることで、腎不全になるのをできるだけ遅らせることが大切だ。
もし、診察を受けず、薬も飲んでいなかったら、腎不全になり、透析をしなければ、生きていけなくなる。
ご存じかもしれないが、透析を受けるようになると、身体障害者も1級になり、医療費などが免除される。
しかし、透析には年間におよそ500万円の費用が掛かる。
透析患者がふえれば、それだけ保険行政が圧迫される。
身体障害者の等級が低くても、費用の軽減を図るようにしたほうが、きちんと医療機関で診察を受け、薬の服用をするようになるのではないだろうか。
費用が払えずに、否応なく透析になる人もいると思う。
透析を遅らせる努力を患者自身もする必要があるが、行政も患者の費用を軽減することで、治療に専念してもらい、透析を遅らせ、結果として保険行政も少しはよくなることはないだろうか。


わたしは、腹膜透析ための準備手術を受けたが、まだ透析には至っていない。自分なりに努力はつづけている。