睡眠時間を削るとかえって疲れがとれない

先日、友人から「毎日、何をして過ごしているの」と問われたことがある。
「いろいろしていると思うけど、人と違うことというと何かな」
ちょっと考えてしまった。


ここで、少し見方を変えてみて、皆とまったく同じことをしているものは、なんだろう。
しかも、毎日必ずすること。
それは睡眠、眠ることだ。
眠ることはたいへん大切なのだが、あまり真剣に考えてこなかった。
どちらかというと寝つきがいいからだ。
そんなわたしでも、たまに眠れないときがある。
眠ろうとして眠りに落ちない。ベッドの上を二転三転。眠ろうと思えば、思うほど眠れない。
翌日、大事な用がある、早く寝なければ、という思いが頭の中を駆け巡って、いっそう眠れない。
こんなときに、時間がたいへん気になる。つい時計を見てしまう。
「あ、もうこんな時間だ」と焦るようになる。
眠れないときに時計を見るのは、よくないと専門家はいう。
また、夜中に目が覚めてしまったときに、同様に時間を見ないほうがいいらしい。


以前睡眠に関する本を作ったとき、眠れないときはベッドからはなれたほうがいいといわれた。
ベッドで横になっても眠れない、ということが何度かあると、ベッドに入ると眠れなくなるという「条件付け」が働く。つまり、ベッドが寝付けない場所となってしまう可能性がある。
それを防ぐためには、眠れなくなったときは、ベッドからはなれて音楽を聴いたり、本を読んだりして眠くなるのを待ってからベッドに入るといい。
わたしは、寝る前に音楽を聴くことにしている。ちょっと懐かしい、あまり刺激的ではないものを選んで聞いていると眠くなってくる。


ちなみに睡眠時間は、8時間ではなく、7時間という統計がある。
また、高齢者の場合、5時間から6時間で十分な人が多い。
よく眠れたという実感があり、翌日別に支障がなかったとすれば、時間にあまりこだわる必要はない。
8時間寝ていないからよくないということはないのだ。


疲労の専門家によると、わたしたち人類は哺乳類の中でも昼間に活動する昼行性で、昼間に活動した結果起こる疲労を回復するには睡眠はたいへん重要とのこと。昼間は、大脳も自律神経も活発に働いている。また、紫外線もあって酸化を進むのだという。
夜は、活動をしないので、酸素やエネルギーを使うことも少なく、また、紫外線も浴びないので酸化も起こらない。日中疲労物質によって損傷された脳の疲労も回復する物質が出てくるのだそうだ。
多忙な人ほど睡眠をたっぷりとることが必要とのこと。
実際は、忙しい人ほど睡眠時間を削っている傾向があるが、それでは疲労がどんどん蓄積されてよくない。


よく眠るためにすべきことは、昼間にある。
メラトニンというホルモンがある。睡眠をつかさどっている。目が覚めるのはメラトニンの分泌が止まるとき。それは明るさによっておこる。太陽の光を浴びると、メラトニンの分泌が止まるのである。目が覚めたら、寝室のカーテンを開けて朝日を浴びるようにする。多少曇っていても、効果はある。
明るさは、眠りを誘うときにも関係があり、眠ろうとしたらできるだけ明かりは落とし、暗くしたほうがいい。お風呂も少し暗めにして入ったほうがよいという。


枕もいろいろある。わたしが使っているのは、某通販雑誌で取り上げられたもの、それに北欧の日用雑貨を大量に売っているところで買ったもののふたつ。
寝るときは、通販雑誌のもので、ベッドにもたれて本を読んだりするときには、北欧の雑貨店のもの、どちらも昔に比べれば、ずいぶんと大きなものを使っている。おかげで枕から頭が落ちるということはまったくなくなった。
昔の枕はずいぶん小さかった。
枕は、横になって上を向いたとき、まっすぐ天井を見ることができるものがいい。あごが上がって上が見えたり、反対にあごが下がり、下を向いてしまったりするようでは、高さは適切ではない。一度枕を点検してみることをお勧めする。