介護認定はこうして行われる

地元のFM局のわたしの番組に、ケアマネージャーをしている友人をゲストに招いて、介護認定を上手に受けるための方法を聞いた。
ケアマネージャーの友人は、介護度を判定をするために自宅にくる判定員に、介護を受ける人の状態を手紙などにして渡すといいといっていた。
というのも、質問に対し、実際はできていないのにできると答えてしまう人が結構いる。
そのときに正しく判定してもらおうと、思わず「できないじゃないの」というと、そのひとことが介護を受ける人の気持ちを傷つけることが多い。
そこで、前もって介護を受ける人の状態を手紙などにしておけば、介護を受ける人の自尊心を傷つけずに、状態を伝えることができるという。


そんな話を聞いたのだが、リスナーから、もう少し詳しく知りたいといわれたので、介護認定がどのように行われるかを紹介しておく。
介護認定の内容がわかれば、何を手紙やメモに残しておくといいかがわかるはず。


要介護認定としてチェックされる項目には
1身体機能・起居動作
2生活機能
3認知機能
4精神・行動障害
5社会生活への適応
の5項目がある。



1身体機能・起居動作
 生活するうえで基本的な動作ができるかどうかを調べる。
 たとえば、関節の動きに問題はないか。関節が硬くなって曲がらないという人もいるだろう。からだにマヒがあって動かないという人もいるだろう。マヒやこわばりは見ただけでわかる。しかし、寝返りが打てるかどうかのチェックとなると、ベッドなどに寝てもらって調べる必要がある。
義父は、あおむけに倒れてしまうと、からだを起こすことができなかった。裏返された亀の子のような状態でバタバタとからだを動かすだけで、からだを起こし、立ち上がることができない。それだけ筋力が衰えているからだが、これでは寝返りは打てない。こういう場合は寝返りができませんと書いておく。
筋力の衰えは、寝返りが打てるかどうかでわかるのである。
視力、聴力も調べる。「テレビの音量は大きくありませんか」と聞けば、それで聴力がどのくらい衰えているかもわかる。これも家族なら、ふだんからわかっているはず。
 事前にこうしたことをチェックしておいて、メモにしておくといい。


2生活機能
 食事、排尿、衣服の着脱、外出頻度など、日常生活が問題なく送れているかどうか。
 「食事は食べられますか」と聞かれれば、食べることはできますと答えるだろう。しかし、ひとりで食べることができなくて介助が必要な場合もある。
 「トイレはいけますか」も同様に「できます」と答えるが、実際は間に合わないで漏らしてしまうことが多いとすれば、それをメモにしておく。口頭で、「できないじゃない」といってしまうと、自尊心を傷つけることになる。
 衣服も自分ひとりでは着ることができないこともあるだろう。
 「外出していますか」と聞かれ、出かけますといっても、それが月に1回ぐらいでは少ないといえる。
 こうしたことをメモにしておく。


3認知機能
 生年月日や年齢をいう、いまいるところをいうといった記憶の確かさなどを調べ、認知機能を確認する。これはその問いに答えられるどうかでわかる。認知機能のチェックは確立しているものがあるので、それに従うことのほうが重要である。


4精神・行動障害
 過去1か月の間に社会生活を送るうえで、不適当な行動があったか、あったとすれば、その頻度はどのくらいなのか。
 たとえば、大声を出して怒鳴ったり、突然泣いたり、笑ったりし、感情がコントロールできないといったことである。
 これも質問に答えていけばいい。質問が具体的なので、答えるのもそれほどむずかしくないだろう。


5社会生活への適応
 金銭管理、薬の管理、簡単な調理、買い物ができるかどうか。
 釣り銭の計算ができないために、支払いを大きなお金を行う結果、財布が小銭にいっぱいになっているようでは、金銭の管理ができているとはいえない。薬も飲み忘れが多く、残薬がたくさんあるようでは管理ができていない。簡単な調理ができなくなっている場合もある。また、買い物に行っても何を買ってくるかわからず、必要でないものがたくさんある場合もあるだろう。

 介護を受ける人の生活をじっくり見なおしてみるいい機会にもなるので、介護の判定を受けるつもりで調べてみることをお勧めする。