週刊現代の記事にコメントした

週刊現代からコメントを頼まれた。
免疫療法や民間療法に関して、である。
週刊現代は、いままで飲んではいけない薬、受けてはいけない治療といったセンセーショナルな特集を組み、医療の世界でもいろいろ話題になってきた。
患者を不安にさせるだけで問題の解決になっていないというのが、医療者の言い分だが、すべての記事を読んだわけではないので、一概にいえないが、この病気にはこの薬と安易に薬を処方している医師もいるだろうし、その副作用についてどのくらい丁寧に患者に説明しているかは問題といえる。
治療に関しても、その方法にどのくらい習熟しているか、自信がないなら、よく習熟している医師に依頼し、精度を高めていく必要がある。
新しい治療方法であれば、より慎重に行う必要がある。
問題提起とされた側は、きちんと答える必要があるだろう。


今回の記事は、がんの免疫療法や民間療法に関するもので、もともとこのテーマにたいへん興味があった。
前立腺がんにかかってしまった友人から、免疫療法に関して聞かれたことがある。
自身の免疫細胞を取り出し、それを活発にさせて体に戻し、がん細胞の殺すという方法だ。
友人は、医療関係ではないが研究者でもあるので、その理屈に納得がいき、やってみようと思うが、というわけだ。
費用を聞いてみると、保険のきかない自由診療で1回に150万円、しかも1回では効果がないので2回から3回は受ける必要があるという。
理論的には理解できるかもしれないが、その治療法にどれだけの効果があるのか、患者の体験だけでなく、データがあるのか。
実験データがあったにしても、それはどの段階のものなのか。
動物実験で成功したとしても、それがすぐに人に当てはまるわけではない。
また、人での実験が行われていたとしても、人数が少なく、健康な人を対象に行われている場合もある。これでは効果がまだわからない。
効果のある人、ない人、その使用法、安全性などはわかっているのか。
実験数がどのくらいか。
がんに対してなら、どんながんに有効なのか。
効果のないがんはどんながんか。
さらに、もっとも厳密といわれる、医師も患者も対象のものか偽薬かを知らされずに行う試験が実施されているか。
こうした実験内容がなければ、信用できない。
がん治療の一つして学会でも認められているのか、抗がん剤として使われているならデータがあるはず、と説明し、現在治療に使われていないのはまだ効果が確認されていない。
そんな治療法に何百万も払うのは勧められないと述べた。
友人は、奥さんとも相談し、その治療法は受けなかった。


そんなことがあって、免疫療法がどのように行われているか、その実態を知りたかった。
送られてきた掲載誌を読むと、メインコメンテーターは免疫療法などに常に的確に論評している日本医大の勝俣範之先生で、内容もよかった。


わたしのコメントは、がんに関する民間療法について説明し、簡単なものが載っていた。
実際は、電話でいろいろ担当者と話したが、使われたのは自著『民間療法のウソとホント』(文春新書)からのものだった。
もちろん、間違ってはいない。

がんに関する治療法は、前述のような試験経緯を確認してみることをお勧めする。
患者自身が自らを守るために、自衛のために知識を持ちたいものだ。