しっかり握った手は

わたしは、団塊の世代に属します。
戦後すぐの、昭和22年(1947年)から24年(1949年)生まれの世代を「団塊世代」といいます。ちなみに厚労省の統計では、「の」は入りません。
年間の出生数が非常に多く、260万人を超えます。3年の合計で780万人ですから、かなりの数です。
現在の出生数は100万8千人ですから、いまの倍以上、2.6倍にもなります。それだけの人口が多いので、いろいろと問題を起こしてきました。
いまでも問題になろうとしています。


わたしの友人がエッセイで、戦後の焼け跡にひるがえったおむつは復興の旗印だったに違いないと述べていました。
戦争は終わったが、生活に不安がなくなったわけではありません。
しかし、戦争という最大のストレスがなくなり、人々は子どもを作りました。
のちほど、それが社会現象になると思わずに。
70年近くも昔のことです。
当時は、いまのような便利な紙おむつはありません。
それぞれの家庭で着古した浴衣や寝間着などでおむつを作っていました。
そして、子どもが生まれた家では、様々な模様のおむつが洗濯竿をたなびいていたのです。
それもたくさん。
おむつを干している光景は、まさに平和の象徴ではなかったのではないでしょうか。
平和の象徴であっただけでなく、人々に生きる活力を生み出してくれたのだと思います。
いまでも赤ちゃんは、大人にとって生きる「力」を与えてくれます。


娘が女の子を出産しました。
赤ちゃんを身近で見たのはたいへん久しぶりです。
高齢者を見かけない日はありませんが、赤ちゃんにはなかなか出会いません。
ぎゅっと握られている小さな小さな手を見ていたら、この子はいま未来をてのひらに握っているのだと思いました。
そして、彼女の未来の一部をわたしは握っている。
生き方が問われています。
しっかり生きろといわれているような気もしました。


生まれてきてくれて、本当にありがとう。