誰もが悩むのでは

自らのからだの状態(QOL)に合わせて治療を選択したいと述べました。
現在、わたし自身のQOLで問題なのは、なんといっても痛みです。
原因がはっきりわからないので、痛みを伝える神経に作用する薬を使っています。そこで、主治医と相談して、痛みをできるだけとるために、もう少し強い痛み止めを使ってみようということになりました。
腎臓の障害があるので、あまり強い痛み止めは使えなかったのですが、今度の薬の効果はすぐに現れ、痛みはずいぶん改善されました。
しかし、強い薬だけに副作用もあります。それが便秘です。
じつは、いままで便秘に悩まされたことはほとんどありません。
痔の手術を受けたときに、排便するのが怖くなり、便秘になってしまいました。このときは、すぐに痔の専門医が処置してくれ、すっきりしました。
痔の専門医に、トイレで便座に座ったら、スッと出てくるのが理想です。力まないように、といわれてきました。
その後はまさにそんな感じで、快便がつづいていたのですが、痛み止めを変えてから、便意もとぼしく、力んでも出ません。
あらかじめ副作用として便秘があることはわかっていたので、便秘薬も飲んでいたのですが、それでは効果がなかったのです。
便秘の経験がないだけに、いっそう苦しくて、主治医に相談しました。一度診ましょうといわれ、定期健診以外で初めて診察を受けました。
お腹をさわったり、聴診器を当てたりして、腸の働きが落ちているとわかり、別の便秘薬を処方してくれました。
便秘はQOLを害するだけでなく、脳梗塞を起こすこともあり、放っておいてはいけません。
ところが、日本の便秘治療は非常に後れを取っていました。2017年にようやく慢性便秘症のガイドラインもでき、新薬も次々と登場してきています。
わたしが服用しはじめたのもそのひとつ。
便秘に悩んでいる高齢者はたいへん多いと聞きます。一度医師に相談してみることをお勧めします。
ちなみに排便するときは、背中を伸ばして前かがみに座ったり、足を足台に乗せて高くするといいそうです。太ももと胴体の角度を90度未満すること。
わたしはスッと出るというところまではいきませんが、徐々に改善されつつあります。(12月1日発行八ヶ岳ジャーナル)

ここまでは、八ヶ岳ジャーナルの記事ですが、この後日談があります。後日というより、原稿を書き終わったころから、ひどい便秘になり、4日間も排便がなくなったのです。
述べたように、便秘の経験がありません。経験者なら、4日や5日は排便なくてもそれほど心配はしないのでしょうが、未経験者にはつらいものです。
肛門の出口まで便はきているのに、そこで塊になって通過しません。無理に出そうとすると強い痛みが起こります。痛みで、便意がなくなり、排便ができないという状態です。これを1日に何度もくり返しました。
自力で排便することができない、なんとかしてほしい。
これは、お医者さんや看護師さんに頼むしかない。友人のケアマネジャーに相談して、在宅医療を行っている近くの診療所を訪ねました。以前在宅医療の訪問看護師をしている知人から「摘便」は重要な仕事といっていたのを思い出し、在宅医療をしている診療所なら、してもらえると思ったからです。
診療所の先生は、講演会などで知っていたのですが、診療を受けるのははじめてです。検査データやお薬手帳を見せ、腹膜透析をしていることも含め、病状をくわしく説明しました。
診察以外にトイレがついている個室があり、そこで看護師さんに診てもらいました。
まず浣腸。液体を入れ、しばらく我慢してトイレに行って、力みます。これで便が出ればいいのですが、出ない場合、肛門に指を入れ、便を柔らかくして、掻き出します。これが摘便なのですが、ふだんあまり人には見せないところですから、恥ずかしさもあります。それにあまり気持ちのいいものではありません。
でも、便秘の苦しみを早く解消してもらいたい。
看護師さんに身をゆだねました。少しオーバーですが、そんな感じです。
何回かのトライの結果、固まっていた便が出て、便秘は解消されました
。家に帰っても排便があり、すっきりしました。
痛み止めには効果がありますが、副作用もつらいものでした。
痛みの次は便秘との闘いですかね。