ビタミンDと日光浴を少しくわしく

1. 足りない栄養素
 自分のからだの栄養で足りないものをご存じですか。
 日本人に足りない栄養素といわれているのは、カルシウムです。
 日本の水は軟水です。軟水というのは、カルシウムやマグネシウムが少ない水のことで、ヨーロッパは反対に硬水、カルシウムが多い。
 日本で生活している限り、毎日のように飲んでいる水によっても、カルシウムも不足することがあります。
 カルシウムを含んでいる食べものを、積極的にとっていないとカルシウム不足になります。しらす干しとかめざし、桜エビ、ワカサギといった魚に多いのですが、最近はあまり食べなくなりました。
 乳製品もカルシウムが多いのですが、これはどうでしょう。
 毎日牛乳を飲んでいますか? もしくはヨーグルト、チーズはカルシウムが多いですが、カロリーも気になります。
 野菜や海藻にもカルシウムが多いものがあります。エンドウ豆、塩豆、ヒジキ、ゴマあたりが多い。切干大根、油揚げ、凍り豆腐など。
 乳製品をのぞくとなじみのないものが多い。それだけカルシウムが不足しているということでしょう。

2. 注意したいカルシウムを減らす食品
 カルシウムと拮抗するように働くのがリンなのです。
 つまり、リンをたくさんとると、カルシウムの吸収を阻害してしまいます。
 加工食品、インスタント食品、清涼飲料水などにリンがたくさん含まれています。
 カルシウムもリンも両方ともからだには必要なのですが、カルシウムが1に対してリンが2というバランスがいいのですが、いまは1対3になってきています。
 リンの多い食品を本当にたくさんあります。リンが含まれていない食品を探すほうがむずかしい。知らず知らずのうちにとってしまっています。要注意ですね。

3. 骨をつくるカルシウム
 カルシウムは、骨をつくっています。とくに女性の場合、更年期以降にふえてくる骨がスカスカになる骨粗鬆症ですが、カルシウム不足が原因です。
 更年期以前からカルシウムをとっておくこと、カルシウムの貯金が大切です。
 じつは、カルシウムがからだのなかで吸収されるには、ビタミンDが必要なのです。カルシウムを含んだ食べものが消化管に入ってきます。ビタミンDが腸管に働きかけて、カルシウムの吸収を促すのです。
 カルシウムをいくらとっても、ビタミンDがないときちんと吸収されないのです。
 ビタミンDは、カルシウムがおしっこに出ていかないように、腎臓で再吸収を促進しています。
 さらに、骨にも関係しています。
 ビタミンDは、骨の新陳代謝をしています。古くなった骨を壊し、新しい骨をつくっています。古くなった骨を壊す、破骨細胞といいますが、その働きをよくしています。一方で、骨をつくる骨芽細胞に働きかけて、活性化しているのです。
 カルシウムは重要ですが、ビタミンDもないと、骨がスカスカになっていきます。
 じつは、骨粗鬆症も怖いのですが、ビタミンDが、神経や筋肉の働きを活性化して、転ぶのも防いでいるのです。お年寄りが転倒して骨折し、寝たきりの原因になりますが、これを防ぐにはビタミンDが欠かせません。

4. 免疫力を高めるビタミンD
 よく風邪をひく人がいますね。風邪に対する抵抗力、免疫力が弱いといえます。
 これもビタミンDが不足していると考えられます。
 冬になると、インフルエンザが流行します。これはビタミンDが冬になると減ってくるために、インフルエンザが流行するからではないかという説があります。ビタミンDの量が多い人ほど、インフルエンザなどの感染症にかかりにくいのです。ビタミンDが免疫力を高めてくれます。
 そして、がんに対してもビタミンDは有効です。
 国立がんセンターがん予防・検診研究センターで、大腸がんとビタミンDの摂取に関して調べたものがありますが、ビタミンが少ないグループと多いグループでは、そのリスクは数倍も違うそうです。最近、大腸がんはふえていますから、ビタミンDは重要です。
 乳がんについても、ビタミンDによる予防効果が認められています。
 このほか、海外の報告ではビタミンDを多くとっている人ほど、糖尿や高血圧、心筋梗塞脳卒中うつ病などにかかりにくいといわれています。

5. ビタミンDをふやすには
 食べものでいうと、アンコウの肝とキクラゲがナンバーワン。シラス干し、イワシ、みがきニシン、筋子など。魚とキノコ類だけ。これまたあまりなじみがありません。
 ビタミンDをからだのなかでふやしてくれるのが日光浴。
 季節、住んでいる場所などによって、ビタミンDの含有量が違うことがわかっています。
 季節でいうと、冬になるとぐんと減ります。住んでいるところでいうと、やはり北国の人は少ない。
 つまり、よく日に当たる人、日にあたる可能性が高いところに住んでいる、太陽光に当たる機会が多い季節ほど、ビタミンDの量が多い。
 最近、女性でビタミンDが不足している人がふえているのは、紫外線除けの化粧品を使っているからではないかといわれています。
 紫外線に当たらないうえに、紫外線をカットする化粧品を使っていれば、ビタミンDが不足してきます。
 日光を浴びすぎるのはよくないのですが、都会に住んでいる人、わたしたちのように寒いところに住んでいる人は、日光を浴びない生活を送っています。とくに冬はそうですね。
 春、夏、秋なら、1日に10分から15分、冬なら30分ぐらい、日光を浴びる必要があります。
 お年寄りが昔よく、縁側で日光浴をしていました。
 あれは、いいことだったのです。
 わたしたちもいまの時期、ほとんど外で活動しなくなりましたが、30分ぐらい運動するのはいいですね。
 わたしも、毎朝ウォーキングをしているのですが、途中から汗ばんできますので、帽子をとって日光浴をしています。
日差しが強いので、サングラスはしていますが、これで風邪をひかなくてすんでいます。