2009-01-01から1年間の記事一覧

マグネット・じいちゃん

15日から、カミさんが働いているギャラリー・カフェで、義父の遺作展を開かせてもらっている。 義父の田舎から、石川県から、東京から、千葉から、なんと香港からも亡き父に会いに、多くの人がやってくる。 たいしたものだ。 義父の磁力に引き寄せられるよ…

マグネット・ホスピタル

磁力のある病院。 医師をはじめとした医療スタッフが足りない、足りないといわれる中、自然と医師も看護師も、医療関係者が集まる病院のことをいう。しかも、優秀な人々が集まってくる。 そして、もちろん患者も集まってくる。 患者がたくさんくることで、病…

桜が散りゆく

わが家の山桜は、この連休前に咲きはじめた。 山桜だから、葉といっしょにほころびはじめる。しかも、花は木の上のほうで咲いている。 いつも咲くのは、連休のあと。遊びにきていた人たちが帰り、静けさを取り戻したころに咲く。 だから、わたしたちも桜を十…

並んだ骨壺

義母は亡くなって、もう40年近くになる。 義父が亡くなり、義母の隣りにその骨壺が安置された。 40年ぶりの対面である。 娘が、おばあちゃんはおじいちゃんがわかるかな、と独り言。 息子が、いままでずっと見守っていたから、すぐわかるよと返す。 亡き…

冥加金とはなんだ

義父の納骨に行ってきた。 カミさんの兄弟、すべて女性なので姉妹だが、その連れ合いと子どもたち、さらに孫を含め、総勢24名か。 おそらくこれからもう二度と、これだけの親族が集まることはないだろう。 義父、義母が眠るのは、日本でも公園墓地といわれ…

エンドポイントは人それぞれ

わたしは右の腎臓が動いていない。 30代ぐらいから徐々に悪くなっていたらしいが、50歳になってはじめて受けた人間ドッグでそれがわかった。 そのとき、超音波診断を受けたのが、検査技師が右を向いてください、仰向けになってください、左に向いてくだ…

エンドポイント

終了点。人生のエンドポイントをどこに置くか。 一昨日、友人の大学教授、歯科医師と横浜で食事をした。友人の歯科医師の診療所で働く歯科衛生士、それにカミさんもいっしょに。 いろいろな話をしたが、中でも印象に残っているのが、人生のエンドポイントに…

くすくすと笑う星の夜の大広間

倉本朝世さんの句。このブログで、倉本さんの句を紹介したら、ご本人から連絡があり、句集『なつかしい呪文』をいただいた。早く読もうと思っていたが、義父の葬儀や原稿の締め切りやで、なかなか読めなかった。 本日、まことにじっくりと拝見。 春風に苗字…

電気カミソリ

ひげは、カミソリでそるもの。これがわたしの長年の習慣である。 いつそるか。勤め人をしていたときは、朝起きて顔を洗ったときにそるようにしていた。 こちらに越してきて、もっぱらお風呂に入ったときにそるようになった。頭を洗い、ひげを剃る、これが入…

義妹からの手紙

義父は家族葬で送った。 わたしは満足しているが、ほかの家族たちはどう思ったのだろう。 義妹から手紙がきた。 何度思い出しても本当にいいお葬式だったなと……。 姉さんがお父さんの様子を話してくれたり、お兄さん(わたし)が思いを語ってくれたり、 まっ…

戒名不要 香典無用

葬式無用 香典無用かもしれない。 義父の葬儀である。 僧侶も牧師も呼ばない。 家族だけで送ること。 無宗教で葬儀は行うこと。 これが義父の遺言だった。 その通りにした。 送る人が思い思いの気持ちで送ればいい。 それを強制しない。 仏教で送る、キリス…

死者の心

生きていること、死んでいること。その違いは何か。 心理学者の金沢創さんは、生きていた体がある瞬間に死を迎えたとき、突然動かなくなる。そのとき、いままであった『何か』が失われてしまったと人は感じる。チンパンジーにはこの『何か』を認識できるか。…

枯れ木倒れ

能でからだをまっすぐにしたまま仰向けに倒れる型のことを枯れ木倒れとか仏倒れという。 義父が逝った。 まさに枯れ木が静かに倒れるように。 あっけない幕切れだった。 退院してきて、元気になり、これから本格的な介護がはじまると覚悟を決めた矢先に。 い…

圧迫骨折を見逃すな

義父が昨年の暮れあたりから「腰が痛い」「寝ていてもいいか」といって横になることが多くなった。さらに、歩くことがおぼつかなくなり、ずるずると歩き、すぐに何かにつかまりたがるようになった。歳のせいだろう、と軽く見ていたが、歩行が困難になると同…

立ち枯れ

家の近くに枯れた枝が落ちていた。けっこう太い枝なので、どこから落ちてきたのかと上を見上げると、木々の中で1本の木の上4分の1ぐらいがない。その木は立ち枯れているだろうか。おそらくキツツキが木の幹をつついて穴でも開けたに違いない。そこから雨…

煮えたぎる鍋 方法はふたつある

清水哲男さんが主宰している「増殖する俳句歳時記」は、昔からよく見ているサイトである。「へえ」と驚き、感心してしまう句にいくつも出会った。以前、このブログでも紹介した農業をしている句にもこのサイトで出会った。わたしの大好きな池田澄子さんの句…

ソーシャルワーカーのいる病院

医師や看護師とも異なり、患者の立場に立って、入院中はもちろん、退院後の生活を視野に入れ、活動するソーシャルワーカー。さまざまな問題を患者や家族とともに、行政や病院と交渉を続ける。 ソーシャルワーカーは、貧しい労働者階級の対応策を示すことから…

おうい雲よ

雲ひとつない冬の青空が広がっている。 そこで、山村暮鳥(やまむらぼちょう)の詩。 おうい雲よ ゆうゆうと 馬鹿にのんきさうぢやないかどこまでゆくんだ ずっと磐城平(いはきだひら)の方までゆくんか いいな。こんな感じで生きていければ。 和室に父の篆…

ちょっと贅沢

昨日は、わたしの誕生日。わたしの誕生日に合わせたかのように、義父が検査のために1週間入院したので、カミさんとふたりで、小淵沢の和食屋さんへ行った。義父ともよくいっしょに行った店である。昨年4月より義父と暮らしはじめたので、それまでのように…

人生の終着駅

いったいどこにあるのだろう。 昨年の暮れから、一気に衰えた義父。食事はかろうじてひとりでできるが、ベッドから起きることも、着替えも入浴も、カミさんの介護なしではできなくなった。 なんとかできることは自分でやろうとして、パジャマは脱いだはいい…

はためく、おむつの旗の下に

いただいた年賀状より。 わたしには幻が見える。はためくたくさんのおむつである。昭和23年、戦後まもなく、焼け跡に建てられたバラック。その傍らにある物干し竿には、たくさんのおむつがはためいている。国破れて山河あり、という状況にあって、町中にあ…

静かな日々のはずが

今日からいよいよ仕事始め。 正月は、息子夫婦、娘が帰ってきていたので、にぎやかな日々だった。彼らも帰り、カミさんと義父の静かな日々が訪れるはずだったが、昨年の暮れから義父の様子が少しおかしい。 うっすらと積もったベランダの雪を掃きまくるほど…